ECB、18年7月までに利上げ 短期金利市場が織り込み

2017年7月12日(水)00時42分

[ロンドン 11日 ロイター] - 短期金利などの動向から、欧州中央銀行E(ECB)が来年7月までに2011年以来初めての利上げに踏み切るとの見方が示されている。ただ、いかなる金融引き締めも米連邦準備理事会(FRB)と同様に緩やかなペースで行われる公算が大きい。

ECBなどの主要中銀からタカ派的なコメントが続いたことで、過去2週間ほどの間に市場ではECBによる利上げ観測が高まり、来年7月のユーロ圏無担保翌日物平均金利(EONIA)のフォワードレートは現在マイナス0.25%と、EONIAスポットレートのマイナス0.36%を大きく上回っている。

この差は、ECBが現在マイナス0.40%としている中銀預金金利を来年7月までに10ベーシスポイント(bp)引き上げる可能性を市場が完全に織り込んでいることを示している。1カ月前はこうした可能性は織り込まれていなかった。

ただ向こう2年間の利上げ回数の予想は2─3回。金利はなおマイナス圏にとどまると見られている。

INGのシニア債券トラテジスト、マーティン・ファンフリート氏は、「引き締めサイクルは非常に緩やかなものになると予想されている」とし、「FRBも現在のサイクルの始めの2年間は緩やかな引き締めを行った」と述べた。

ただユーロ圏のインフレは低調となるとの見通しに加え、ECBは利上げに踏み切る前に債券買い入れプログラムを縮小に着手するとみられるなか、多くのアナリストは市場が描くこうしたシナリオは積極的過ぎると受け止めている。

HSBCは、ECBは2018年を通して中銀預金金利を現行水準に据え置くと予想。ABNアムロは初めての利上げは同年9月になるとの見方を示している。このほか、RBCキャピタルマーケッツの世界マクロストラテジスト、ピーター・シャフリク氏は「ECBは18年はまったく利上げは行わないとみている。19年に利上げがあるかどうかも疑わしい」と述べている。

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