野村HD、17年3月期当期利益は2396億円 06年3月期以来の高水準

2017年4月27日(木)18時27分

[東京 27日 ロイター] - 野村ホールディングスが27日発表した2017年3月期通期の当期利益(米国会計基準)は前年同期比82%増の2396億円となり、06年3月期(3043億円)に次ぐ高水準となった。為替、金利などのトレーディング業務の好調を受け、ホールセール部門がグループ全体の収益を押し上げた。

課題となっていた欧・米・アジアの海外部門の黒字化も増益に寄与。海外の税引き前利益は881億円と、地域別の数字を開示し始めた03年3月期以降、最高の水準となった。今後は米国で投資銀行業務(M&A)などを「選択的に強化する」(北村巧・財務統括責任者)方針。

<収入も増加>

野村の海外は赤字に転じやすかったが、2016年に欧州を中心に行ったコスト削減で損益分岐点は大幅に低下。北村CFOは同日の決算会見で、こうしたコスト抑制だけではなく、顧客基盤の拡大などにより収入も増やせる体制になってきたと強調した。

17年3月期、グループの主な3部門で最も稼いだのはホールセール部門。同部門の税引き前利益は1614億円と前年同期比で10.5倍になった。

北村CFOは、国境を超えた「クロスボーダーM&A(企業の合併・買収)はもう少しカバーしたい」と述べ、米国の投資銀行業務の強化を目指す方針を示した。

分野は、「選択的に強化する」(同)方針で、事例として、欧州のチームと相乗効果を出せるセクターとして、金融、ファイナンシャルスポンサー、天然資源を挙げた。

<リテールは低迷>

このほか、野村HDの主要3部門のうち、アセット・マネジメント部門の税引き前利益は、同15%増の423億円と、米会計基準を適用した02年3月期以来の高水準になった。

一方、営業(リテール)部門の税引き前利益は同41%減の748億円と、5年ぶりの低水準。業績低迷をふまえ、リテールのコスト見直しの必要性について問われた北村CFOは、最新技術などの活用で費用を抑制すると述べた。「人件費より考えられるものがまだある」と、単純な人員削減などには否定的な見方を示した。

野村HDは同日、発行済み株式総数の2.6%にあたる1億株・800億円を上限とする自己株取得を発表した。昨年も発行済み株式総数の2.6%にあたる1億株(450億円)を上限とする自己株取得を実施していた。

*内容を追加しました。

(江本恵美)

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