三井生命、ヘッジ付外債を数百億円圧縮=17年度運用計画

2017年4月20日(木)20時52分

[東京 20日 ロイター] - 三井生命保険が20日発表した2017年度の運用計画では、外国債券のうち、為替ヘッジ付き外債を数百億円程度減らす一方、ヘッジなしのオープン外債を1000億円以上増やす。

国内債券は数百億円程度圧縮する。ドルのヘッジコスト上昇に対応するため、前年度に続き外部委託投信も活用する。

同社は低金利環境下でヘッジ付き外債へのシフトを進めてきた。16年度は1700億円程度増加した。会見した松多洋一郎・執行役員運用統括部長は「前年度にだいぶ増やしたので、ことしは若干減らす」と述べた。

日米金利差の拡大などに伴うドルのヘッジコスト上昇については、欧州への分散投資や外部委託投信の活用などで対応する。ヘッジ外しは対応策の一つとして検討していくものの、計画には織り込んでいないという。

欧州への分散投資については、大統領選挙が控えるフランスも対象に含まれるという。松多氏は政治の状況は慎重に見なければならないとしつつも、「リスクシナリオをみているわけではない。一時的に振れたところは逆に入るチャンスと考えている」と述べた。

外部委託投信は16年度に500億円程度増加した。「外部に委託して我々と異なる手法の運用に分散する」(松多氏)といい、17年度も数百億円程度増やす。外債系の投信が多くなるという。

国内債券は16年度に500億円程度減らした。17年度も圧縮する計画だが、前年度に比べて買えるものも出てきたという。松多氏は「予定利率が低い保険が出始めている一方、日本国債の長めのところでは金利が上がり、ものによっては保険の負債を上回る金利も出てきている」とし、去年に比べると投資環境は少し改善しているとの認識を示した。

国内債券、ヘッジ外債は減少するものの、その中でも社債などクレジット投資については強化していく方針。松多氏は「格付けは投資適格のところを中心にやっていく」と述べた。

同社は豪ドル建てと米ドルで終身保険や年金などを販売しており、オープン外債はこれら保険の売り上げ見合いで積み増す。昨年までは金利が高い豪ドル建てが売れ筋だったが、米ドルの金利も上昇し、金利面では両者の魅力度の差が縮まってきている。米ドル建てのニーズも出てくる可能性もあるという。

今年度の米10年債利回りについては2.40─3.20%のレンジを見込む。個人消費の拡大や年後半からのトランプ政権の政策効果により、2%をやや上回る成長があるとみている。

国内株式と不動産は横ばいを計画。貸し付けは投資妙味が薄いことから数百億円程度減少する。

*情報を加えました。

(杉山健太郎 :編集 青山敦子)

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