ドル過度に強い、中国を為替操作国に認定せず=トランプ氏

2017年4月13日(木)08時14分

[ワシントン 12日 ロイター] - トランプ米大統領は12日、ドルが強くなり過ぎているとし、ドル高はいずれ米経済に打撃を与えるとの考えを示した。米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで述べた。

大統領は「ドルが強くなり過ぎている。これは人々が私を信頼しているためで、私のせいでもある。だが、結果的には打撃となる」と指摘。「他国が通貨を切り下げる中でドルが強ければ、競争するのは極めて難しい」と述べた。

大統領はまた、今週財務省が公表する主要貿易相手国の為替報告書で、中国を為替操作国には認定しないと明らかにした。中国は「為替操作国ではない」と言明。トランプ氏は選挙期間中、就任初日に中国を為替操作国に認定すると主張しており、見解を180度転換した格好だ。

WSJによると、トランプ氏は為替問題に関する自身の立場を変えた理由として、中国は何カ月も人民元を操作しておらず、現在の局面で為替操作国に認定すれば、北朝鮮問題への対応を巡り進めている中国との協議を損なうためだと説明した。

トランプ氏の発言を受け、米財務省報道官は同省が今週公表する為替報告書で中国を為替操作国に認定しない方針であることを確認した。

米民主党のシューマー上院院内総務はこれについて、中国政府に対する「厳しい通商措置の欠如」を表していると批判し、「北朝鮮問題で中国の協力を得るために最も有効な方法は、中国政府が最重要視する通商問題で同国に厳しい姿勢で迫ることだ」と述べた。

トランプ氏はまた、金利が引き続き低水準にあることを望むとも述べた。

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長については、尊敬していると指摘。現行の任期を迎える2018年で「おしまいになる訳ではない」とし、続投に含みを残した。トランプ氏はこれまで、金利を過度に低い水準に維持しているとしてイエレン議長を繰り返し批判してきた経緯があり、見解を大きく変えたことになる。一方でトランプ氏は、金利が上昇すればドル高が進み、米国の製造業者や輸出に不利になるため低金利は望ましい、と発言したこともある。

ドルや金利に関する大統領の発言を受け、金融市場ではドルが軒並み下落し、対円では0.5%下落。金利に関する発言を材料に米国債利回りは低下した。

BKアセット・マネジメントのマネジングディレクター、キャシー・リエン氏は「市場は大きく反応したが、トランプ氏は米国民に対し通商問題で譲歩しないと主張したかったに過ぎない可能性もあるため、反応は過剰だったと考えている」と述べた。

また、セージ・アドバイザリー・サービシズの社長兼最高投資責任者(CIO)、ロバート・スミス氏はイエレン議長に関する発言について、「金利を抑制しない限り、為替相場を抑えることは難しい。だからイエレン議長の協力を得ようとしていることは明白だ」とし、大統領がFRBの金利政策に影響を及ぼそうとしているとの見方を示した。

*内容を追加しました。

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