英拠点の銀行、フランクフルトへの移転を協議=ドンブレト独連銀理事
[フランクフルト 29日 ロイター] - ドイツ連邦銀行(中央銀行)のドンブレト理事は、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)により、すでに複数の銀行がフランクフルトへの移転で協議を行っていることを明らかにした。一方、これらの銀行が規制面で特別な扱いを受けることはないと明言した。
ロイターとのインタビューで述べた。インタビューはメイ英首相が正式にEUに離脱を通告するこの日公表解禁とされていた。
同理事は「フランクフルトに関心がある多くの銀行から接触があり、すでに興味深い協議を数多く行った」と述べた。
さらに「すべての銀行が同じ都市に集まることはなく、移転には広がりができるだろう」と語った。
英国に拠点を置く銀行の誘致でフランクフルトは、パリやミラノ、アムステルダム、ダブリンといった他国の都市と競うことになる。しかし、ドンブレト氏はドイツがフランクフルトへの銀行誘致のために好条件を示すことはないと強調。「規制面での裁定取引は認めない。(定められているよりも厳しい基準を満たし)規則を上回ることは可能だが、下回ることは許されない」とし、ドイツ連邦銀行としてフランクフルトを売り込むことはしないと説明した。
銀行がEU域内で活動するにはいわゆる「EUパスポート」と呼ばれる許可が必要となり、EU加盟国の少なくとも1カ国に地域本部を置く必要がある。ユーロ圏の巨大銀行を管轄する欧州中央銀行(ECB)によると、オペレーションのいくつかを移すと言っているケースは現時点では少ないが、問い合わせは数十件に上るという。
ドンブレト氏は、英国のEU離脱により、必要性が大いに指摘されているドイツ金融機関の統合・合併が急激に進むとは思っていないと指摘した。
国内に約1900ある銀行は大半が小規模で、一般消費者向けサービスに軸足を置いた貯蓄銀行や協同組合銀行だとし「ドイツの銀行の99%は、ここに拠点を移すような銀行とは競争関係にない」との見方を示した。
ドンブレト氏は投資銀行での勤務を経て7年前にドイツ連銀の理事に就任。来年、任期の期限を迎える。現在57歳。
*29日配信の記事に内容を追加して再送します。
- 1/1