中国新築住宅価格、8月は上昇が加速 市場過熱へ懸念高まる

2016年9月19日(月)18時30分

[北京 19日 ロイター] - 8月の中国主要70都市の新築住宅価格平均は前年比9.2%上昇し、7月の7.9%上昇から伸び率が加速した。中国国家統計局が発表したデータに基づきロイターが算出した。

住宅市場が過熱する都市で導入された市場抑制策がまだ大きな効果を発揮していないことが示された。

政府による一連の景気刺激策で住宅価格・販売は力強い回復を見せ、今年の中国経済を予想以上に支援しているものの、主要都市での住宅価格の急上昇を受け、市場過熱への懸念が高まっている。

8月は前年比で価格が上昇した都市が70都市中64都市と、7月の51都市から増加した。

「Tier2」、「Tier3」に属する都市の住宅価格は予想外に速いペースで上昇しており、市場の過熱抑制に向けて一段と厳しい措置を導入する都市が増えるとの観測が広がっている。

深センは長い間、価格上昇率でトップだったが、今回、湾岸都市の厦門(アモイ)が43.8%上昇と前月のペース(39.2%上昇)を上回り、最も高い伸びを示した。

2番目に高い伸びとなったのは内陸部の合肥(40.3%上昇)だった。同市は7月は33.8%上昇していた。

深センは36.8%上昇で、7月の40.9%上昇から伸びが鈍化した。

上海は31.2%上昇で前月(27.3%上昇)から伸びが加速。北京も23.5%上昇と前月(20.7%上昇)から加速した。前月比では上海が3.6%上昇(7月は1.2%上昇)、北京は3.5%上昇(7月は1.5%上昇)だった。

ゲイブカル・ドラゴノミクスのエコノミスト、ローゼリア・ヤオ氏は「(住宅価格の)大幅上昇はTier1の4都市(北京、上海、広州、深セン)を中心とした一部の過熱市場によって押し上げられた」と指摘。深刻な需給の不均衡が価格上昇の要因との見方を示した。

また、「数年前に同様の価格上昇が見られた際には47都市が価格抑制策を導入したが、今回の局面ではこれまでのところ、わずか6都市にとどまっている」とし、需要サイドの抑制策に効果が出ていないと強調。

「年初の融資促進策は価格押し上げに大きな役割を果たした。市場の流動性をどう抑制するかが政府の最重要課題であるべきだ」と述べた。

深セン、上海など「Tier1」に属する都市では、2軒目の住宅購入時の頭金や非居住者の購入資格などの条件を厳格化している。

全般的には市場回復の兆しが見られているものの、多くの小規模都市は過剰な売れ残り在庫を抱えており、遼寧省の丹東では住宅価格が2.1%下落し、最も大きな落ち込みを見せた。7月は2.4%下落だった。

*内容を追加しました。

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