インタビュー:IMF、世界経済成長予想を再び下方修正へ=ラガルド氏

2016年9月2日(金)01時32分

[ワシントン 1日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、需要の弱含みや貿易・投資の低迷、格差拡大などが景気の足かせになっているとして、2016年の世界経済成長予想を再び引き下げる公算が大きいと述べた。

ロイターのインタビューに応じた。

同氏は「英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)決定後も想定されていたような大きな危機は生じておらず、中国経済の移行もかなり進展しており、商品(コモディティ)相場も多少持ち直していると言うかもしれないが、これは表面上のことに過ぎない」と指摘。

だが「潜在成長力や生産性などに注目すると、望ましいシグナルは見られない」とし、IMFは2016年の世界経済成長見通しを下方修正するだろうと語った。

IMFは10月初旬、「世界経済見通し」を改定する。下方修正となれば、過去およそ1年半で6回連続の引き下げとなる。

IMFは7月、英国のEU離脱決定を受けた不透明性の増大を理由に、2016年の世界経済成長率を3.1%に、2017年を3.4%にそれぞれ引き下げた。

ラガルド氏はブレグジットによる本格的な影響は、英国とEUの通商関係の将来像がより明らかになる2017年までは分からないだろうとした。ただ、英国民の富はポンド急落により減少しており、消費者や企業の信頼感指標も弱いと指摘した。

9月4日─5日に中国・杭州で開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議では、需要押し上げや格差解消に向けた対策を求めるとともに、貿易、グローバル化の正当性を裏付けるよう各国首脳に要請するとの考えを示した。

潜在成長率の一段の低下に加え、財・サービス・資本・ヒトの自由な移動を妨げる障害が増えれば、すべての国・地域を圧迫すると指摘。貿易や技術革新から打撃を受けた人々に対しては政策での支援が必要とし、「これはすべての国、政府が検討し取り組むべき課題」と訴えた。

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