スイス中銀の5月外貨準備増加、英EU離脱めぐる混乱へ準備か

2016年6月7日(火)23時02分

[チューリヒ 7日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)が7日公表した統計で、5月の外貨準備が前月から142億スイスフラン増加し、6020億6300万フラン(6224億2000万ドル)となっていたことが分かった。

外貨準備は中銀の外貨買い入れが減少したにもかかわらず増加。エコノミストの間では、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票をめぐり市場が大きく揺れ動くと予想されることから、スイス中銀はこうした事態に準備を進めている可能性があるとの見方も出ている。

チューリヒのコンサルタント会社、べェラースホフ・アンド・パートナーズのエコノミスト、マーカス・シュミーダー氏は、中銀の外貨買い入れは20億─40億フランだったと推計。過去数カ月間より少なかったが、中銀の外貨準備の約33%はドル建てとなっているため、外貨準備の増加の大部分はフラン相場の対ドルでの下落によるものだったとしている。

同氏はまた、中銀による外国為替市場への介入規模は3月の60億─120億フランから4月は50億─70億フランに縮小したと推計。フラン相場が対ユーロで1.10フラン近辺と穏健な水準で推移したことで、介入規模が縮小したこと考えられるとしている。

ただ、6月の英国民投票に関連して安全資産と見なされるスイスフランに対する需要が増大する可能性があるため、中銀は一段の介入実施に向け余力を蓄えている可能性もある。

IG銀行(スイス)の市場アナリスト、ローレント・バクティアリ氏は、英国がEUから離脱するのではないかとの懸念が英ポンドとユーロに対する圧力になっており、フランの魅力を高める結果となっていると指摘。スイス中銀は1ユーロ=1.10─1.11フランのレンジを守るためにあらゆる手段を尽くすとの見方を示した。

中銀は外為市場への介入状況に関するコメントは控えている。

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