訂正:三菱自の燃費不正は経営陣の圧力 国交省、スズキには再報告要請
会見内容などを追加しました
[東京 18日 ロイター] - 三菱自動車工業の燃費不正行為を受け、国土交通省が各自動車メーカーに指示した実態調査で、新たにスズキでも不適切な試験法で走行抵抗値を算出していた事実が判明、同省は実態について同社に再報告を命じた。三菱自では燃費偽装の背景として経営陣による目標達成の圧力があったことがわかり、相川哲郎社長らは同日、経営責任をとって辞意を表明した。
同省は国内で型式認証を取得している自動車メーカー41社に調査と報告を要請、18日の会見で、三菱自とスズキ以外のメーカーの不正行為は判明しなかったと発表した。三菱自については軽自動車4車種だけでなく、販売している9車種の一部にも操作されたデータを使用するなど新たに不正が明らかになった。
スズキは「排出ガス・燃費試験業務について国交省が定める規定と一部異なる取り扱いがあった」と報告。同社の相良テストコースは天候の影響を多く受けるため、国が定める「惰行法」による安定的な試験が困難だったとし、現在販売している16車種について、惰行法ではなく、実績値を積み上げた走行抵抗値を使用していたという。
同省はスズキが実施した不適切な試験方法について、裏付けとなるデータや説明資料を5月31日まで報告するよう指示した。同社の鈴木修会長は会見で「定められた測定方法を用いていなかったことをおわびしたい」と述べる一方、実測値は法令による試験方法との誤差の範囲内であり、「当社の燃費表示には問題がないことを確認」したと語った。
一方、三菱自の再報告は、経営陣が「直接、不正を指示していない」としながらも、開発日程の短縮や高い燃費目標を期待する経営陣の発言が結果的に不正を生む環境を作った、と結論付けている。
軽自動車4車種については、担当部門が燃費目標達成の業務を子会社に丸投げし、その検証を怠った事実が判明。それ以外の販売中の車では、SUV(スポーツ用多目的車)「パジェロ」、「アウトランダー」のガソリン車とプラグインハイブリッド車(訂正)、ミニバン「デリカD:5」、SUV「RVR」で燃費データの不正行為が明らかになった。
不正の温床となった開発部門に長く携わってきた相川社長と中尾龍吾副社長は責任をとって6月24日付で辞任する意向を表明。益子修会長は新体制ができるまで現職にとどまり、それまでの間の報酬すべてを自主返納することを明らかにした。
国交省では、三菱自の再報告について「軽自動車4車種と、販売している9車種については、実態がある程度明らかになったと認識している」とし、追加の調査や報告は求めない。しかし、不正の拡大は「非常に由々しき問題」(自動車局幹部)として事態を重視、厳しい処分の可能性を示唆している。
*会社側の訂正により、本文中に不正車種を追加しました。
(白木真紀 宮崎亜巳 編集:北松克朗)
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