日産・三菱自、EVや新興国開拓で新たな協業 資本提携で首脳会見

2016年5月13日(金)00時10分

[横浜市 12日 ロイター] - 日産自動車と三菱自動車は12日、資本提携の発表後にカルロス・ゴーン社長と益子修会長による共同記者会見を行った。ゴーン社長は「両社で新興国市場の道を開き、電気自動車(EV)や自動運転など新たな分野に協業を広げる」と関係強化の狙いを説明、益子会長は日産の支援を受けることで燃費不正で失墜した「信頼の回復に努める」と語った。

両社は同日それぞれ取締役会を開き、資本業務提携を決定。日産は2370億円の第三者割当増資を通じて三菱自株式の34%を取得する。これにより、日産は三菱重工業 の保有株式(約12.6%)を上回って三菱自の筆頭株主となる。

日産と三菱自は規制当局の承認を経て2016年5月末をめどに資本提携の正式契約を結び、16年末までに全ての手続きを完了する。第三者割当増資後の三菱グループの出資比率は現在の約3分の1から4分の1前後まで下がる見通し。ただ三菱自は、三菱重などグループ主要3社に対し、20%以上の株式保有の継続と人的支援も求める方針だ。

ゴーン社長は「両社にとってウイン・ウインの関係ができることを期待する」と話し、三菱自との関係強化は「ルノーとの提携をさらに大きくする柱になる」とも述べた。

両社は2011年から軽自動車分野での提携をスタートし、その後も協業拡大の可能性を模索してきた。益子会長は経営環境の変化が激しい中で三菱自単独での生き残りは難しいと判断、パートナーを探してきたと話し、今回決まった日産との資本提携は「不正問題をきっかけに早まったが、継続的な協議の延長線上にあった」と語った。

益子会長は日産との提携拡大が燃費不正で傷ついた三菱自の「信頼回復にとって重要な道筋になる」と指摘。同社の弱みとされる開発部門についても「(日産との提携強化で)意識改革が進むことを期待する」と述べた。

両社は今後、具体的な提携内容を詰めることになるが、益子会長は三菱自が単独では開発投資負担が重いEVや自動運転などでの提携に加え、日産にとっても三菱が得意なSUV(スポーツ用多目的車)や4WD(四輪駆動車)、東南アジア市場での協業でビジネスチャンスができるとして提携効果を強調。三菱自が弱い北米などでの商品補完や、ロシアや中国での生産能力の余剰問題も解決できる可能性に期待を込めた。

日産は三菱自に対し、会長を含む取締役3分の1を派遣するほか、燃費不正の温床となった開発部門にも人材を送り込み、三菱自の企業風土を改革する。

ただ、ゴーン社長は「三菱自には自主的な経営体制を維持してもらう」とし、三菱ブランドも「守り育てる」と語った。益子会長は、不正発覚で軽の販売停止が続いている三菱ディーラーを「日産の販売店に転換することは考えていない」と述べた。

(白木真紀 取材協力:田実直美 編集:北松克朗)

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