三菱重、今期営業益予想13%増と過去最高 三菱自影響織り込まず 

2016年5月9日(月)21時02分

[東京 9日 ロイター] - 三菱重工業は9日、2017年3月期(今期)の連結業績予想は売上高、営業利益ともに過去最高を更新する見通しと発表した。前期は姫路第2火力発電所での不具合に伴う費用負担が響いたエネルギー・環境部門の回復などが寄与する。

今期営業利益予想は前期比13.1%増の3500億円。トムソン・ロイターのスターマイン調査によると、アナリスト16人の予測平均値は3340億円で、会社予想はこれを上回る。

今期の売上高は同8.7%増の4兆4000億円、純利益は同約2倍の1300億円をそれぞれ見込む。配当は前期実績と同じ、中間・期末それぞれ1株当たり6円、年間で12円を予想する。想定為替レートは1ドル=110円、1ユーロ=125円。

持ち分法適用会社で約12.6%出資する三菱自動車の燃費データ不正問題の影響については、現時点で見通せないため、今期予想には織り込んでいない。

同時に発表した16年3月期(前期)連結決算では、売上高が前の期に比べ1.4%増の4兆0468億円と初めて4兆円を上回り、営業利益が同4.5%増の3095億円と収益ともに過去最高だった。円安効果もあり、主翼を担当する米ボーイング向け航空機など交通・輸送部門が寄与した。大型客船の建造遅延で1039億円の特別損失を計上したことで、純利益は同42.2%減の638億円となった。

<南ア資産譲渡で日立に支払い請求>

三菱重は9日開示の16年3月期決算短信の中で、同社と日立製作所が出資する三菱日立パワーシステムズの南アフリカ共和国での火力発電所向けボイラー建設プロジェクトの譲渡価格をめぐり、日立に対して約3790億円の支払いを請求していることを公表した。

しかし、日立側は反論しており、三菱重の公表を受けて「本請求は契約に基づく法的根拠に欠ける」として4月6日付で「請求には応じられない」と回答したことを公表、「協議は継続中」とした。

三菱重の宮永俊一社長は決算会見で、16年3月期末までにめどをつけようとしていた話が両社間で折り合いがつかなかったことを明かし、契約で定めた解決方法に基づき、「これだけは最低限いただかなければいけないという数字」と説明した。

一方、宮永社長は今春にはまとめる予定だった仏原子力大手アレバの原子炉設計子会社アレバNPへの出資協議について、フランス側での枠組みなどが決まらないとして「少し遅れている」と述べたが、出資の方針には変更ないとの方針をあらためて示した。

(白木真紀 編集:吉瀬邦彦)

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