ECB理事会メンバー2人、一段の緩和策必要ないと主張
[タリン/ダブリン 27日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのエストニア中銀総裁とアイルランド中銀総裁は27日、ECBは短期的に一段の刺激策を導入する必要はなく、現在実施されている措置の効果が表れるまで忍耐強く待つ必要があるとの考えを示した。
アイルランド中銀のレーン総裁は、ECBの一段の金融政策措置は完全に指標次第で、何らかの「新展開」があれば現在のスタンスを変更する必要があるとの見解を示した。
同総裁は会見で、「今後は完全にデータ次第となる。3月のインフレ見通しの引き下げは追加措置を実施するのに十分だった。今後見通しがどうなるか見守りたい」と述べた。
その上で「2015年を通して(ECBの)異例の措置が効果を発揮していたことは指標で示されている」としたうえで、「現在の設定を見直すには、何らかの新展開が必要だ。今の政策は現在の一連の予測に基づいており、データに大きな改定があればもちろん政策も修正できる」と語った。
またエストニア中銀のハンソン総裁は、ECBはこれまでのところエネルギー価格低下の影響が賃金や財・サービス価格に波及するのを効果的に防いでいると指摘。「金融政策の効果が表れるまでには時間がかかる」とし、忍耐強く待つ必要があるとの考えを示した。
ECBの緩和的な金融政策は効果を発揮しているとの主張を裏付けるかのように、この日にECBが公表したデータによると、ユーロ圏の企業向けの貸し出しは3月は前年同月比1.1%増となり、伸び率は2011年12月以来の高水準となった。家計向け融資の伸び率は2011年11月以来の高水準となる1.6%だった。
JPモルガンのエコノミスト、グレッグ・フゼシ氏は、銀行融資拡大の動きはユーロ圏各国で幅広く見られたとし、「マイナス金利の影響をめぐる懸念を踏まえると非常に良好な結果」だったとしている。
*内容を追加します。
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