バーゼル委の金利リスク規制、「監督対応」で大筋合意=関係筋

2016年3月31日(木)00時20分

[東京 31日 ロイター] - バーゼル銀行監督委員会(バーゼル委)は、銀行が抱える国債や長期貸出金などの金利リスクに対する規制について、従来通り各国による「監督対応」とすることで大筋合意した。規制の詳細を詰めて4月にも最終案として発表する。複数の関係筋が30日、明らかにした。

バーゼル委は昨年発表した市中協議案で、銀行の金利リスクに対する規制案について、1)資本の積み増しを求める新たな規制、2)各国の金融当局による監督対応──の両論併記とし、どちらを導入するのか議論を進めてきた。

銀行の金利リスクは、金利の上下によってどれだけ損失を被るかで計られる。国債のほか、長期の貸出金となるプロジェクトファイナンスや住宅ローンなどはリスクが高くなる。

複数の関係筋によると、バーゼル委は3月の会合で、従来通りの監督対応とする方針で大筋合意した。各銀行はこれまで通り金利リスク量を開示するが、これまでは銀行ごとに異なっていたリスク計測の手法を一定程度統一化することにし、一段の透明性を図る。計算手法の統一化により、銀行同士の金利リスクの比較が可能になり、リスク管理力が高まると判断した。

また、現行の規制では、金利リスク量が自己資本の20%超える金融機関(アウトライヤー銀行)に対して監督を厳しくする仕組みになっているが、この水準をどのように設定するかなどの規制の詳細を詰めて、4月の会合で最終案を決定し、公表する。

バーゼル委は、世界的に低金利環境が続く中、将来の金利上昇リスクが高まっているとの認識を強め、より厳格に銀行の金利リスクを捕捉する必要があるとして議論を進めてきた。

関係筋によると、自己資本積み増しによる対応を主張してきたのは、ドイツ、英国、スイス、オランダなどだ。これらの国の金融システムは健全性が相対的に高いが、ギリシャなどユーロ圏の周辺国で国債利回りが急上昇した経緯を踏まえ、将来の金利変動に備える必要性を痛感していたという。

一方、日本や米国は、国や銀行によって金利リスクの性質が異なるため、一律に資本賦課を義務化することに反対を表明していた。規制強化により、銀行の融資行動を委縮させるリスクも懸念されていた。

資本増強を求める規制が導入された場合には、邦銀はこれまで注力してきた海外でのプロジェクトファイナンスなど長期の貸出金や、国債保有にも影響が出かねないとの懸念が、金融関係者や当局関係者から出ていた。

(布施太郎 伊藤純夫 編集:田巻一彦)

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