家計・企業の金融資産、12月末は過去最高 現預金の積み増し続く

2016年3月25日(金)12時30分

[東京 25日 ロイター] - 日銀が25日に発表した2015年10─12月期の資金循環統計によると、家計が保有する金融資産残高は昨年12月末時点で1741兆円と過去最高となった。企業の金融資産も1117兆円と最大。そのうち現金・預金が過去最高の246兆円に増加している。

12月末の家計の金融資産残高は前年比1.7%増となり、これまで過去最高だった昨年6月末の1734兆円を上回った。前年から29兆円増加したが、このうち株式などの評価額の上昇分は8兆円程度となった。

内訳をみると、現金・預金が901兆円と同1.3%増加。全体の51.8%を占める。投資信託や株式も増加しているものの、株式は評価額の上昇分を除けば減少しており、家計の慎重姿勢に大きな変化はみられていない。

企業の金融資産も高水準の収益を背景に同4.4%増の1117兆円と過去最高となった。このうち現金・預金が同7.9%増と大きく伸びており、残高は246兆円と過去最高を更新。流動性預金を中心に手元資金を積み増す動きが続いている。

一方で対外直接投資が同5.6%増の110兆円と過去最高となるなど高めの伸びを続けており、積極的な海外事業展開もうかがわせる。

国庫短期証券や財融債を含めた国債残高は1036兆円。償還が発行を上回ったことから、過去最高だった9月末の1040兆円からはわずかに減少した。

保有者の内訳をみると、大規模な国債買い入れを中心に金融緩和を進めている日銀が331兆円と最大の保有主体。残高に占める比率は32%と約3分の1に達している。

金融機関や公的年金、家計などが軒並み国債残高を減らす一方、海外も保有を増やしている。12月末の残高は110兆円、比率は10.6%となり、いずれも過去最高を更新した。

また、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や共済年金など「公的年金」は国債から株式や外国証券へのシフトを継続している。10─12月は長期国債を7044億円売り越す一方、株式を4611億円、外国証券を1兆3535億円それぞれ買い越している。

*内容を追加します。

(伊藤純夫)

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