企業の重要情報、アナリスト等への限定開示の禁止を検討へ=金融審部会

2016年2月19日(金)15時22分

[東京 19日 ロイター] - 金融庁の金融審議会(首相の諮問機関)で、企業情報の開示制度をテーマに議論している作業部会(座長:神田秀樹・東京大学大学院法学政治学研究科教授)は19日、会合を開き、上場企業が未公表の情報をアナリストなど限られた第三者に開示することを禁じる「フェア・ディスクロージャー・ルール」の導入に向けて検討を始めることで一致した。

年度内にまとめられる作業部会の報告書に盛り込み、金融庁は報告書を受けてルール策定に着手する方針だ。

この日の会合では、証券会社のアナリストが上場企業から入手した非開示の情報をもとに顧客に情報やサービスを提供したり、決算短信の公表前に実際の公表数値に近い業績予想が報道されていることなどが問題例として挙げられた。

2015年12月にはドイツ証券のアナリストが上場企業の未公表の決算情報を一部顧客に提供し、株式の売買を勧誘したとして、同証券は行政処分を受けた。

会合では、出席メンバーからフェア・ディスクロージャー・ルール導入に反対論は出なかった。中央大学商学部の原田喜美枝教授は賛成した上で、一部報道機関による業績の事前報道について「海外から批判が来るようなものを残しておくのは望ましくない」との考えを示した。

ただ、実現に向けたさまざまな課題も示された。東京大学大学院・法学政治学研究科の神作裕之教授は「法令のレベルで定めるのか、取引所のルールで定めるのか、規範性の強弱について検討する必要がある」と指摘した。

また、フェア・ディスクロージャー・ルールを口実に、報道の自由や企業と投資家の建設的な対話が阻害されないように配慮すべきとの意見も多かった。

大阪ガス財務部の石田英和担当部長は、優秀なアナリストが研究・分析を通じて他のアナリストが気づいていない点を指摘し、企業に情報開示を求めたり、ち密な調査の結果、企業の不正会計暴いたりするような「自由な調査活動、プラス(の面で)もマイナス(の面で)も、自由に掘り下げて聞きたいというアナリストの活動が阻害されないように実際の規制を作っていただきたい」と要請した。

(和田崇彦)

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