増税は「自滅的」、歳出削減の方が財政再建には有効=ECB論文

2016年2月9日(火)01時29分

[フランクフルト 8日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は、国内総生産(GDP)に対する債務比率を低下させる上で、増税による財政再建は「自滅的」とする論文を公表した。

論文はECB財政政策局のマリア・グラツィア・アティナシ氏とイタリア中銀のエコノミスト、ルカ・メテリ氏が執筆。国際支援を受けたギリシャやポルトガル、アイルランドを含むユーロ圏11カ国の2000━2012年のデータに基づき作成した。

増税による財政立て直しでは、債務のGDP比率は長期的にしか衝撃を受ける以前の水準に戻らないとし、「自滅的な財政再建となってしまう」と指摘。歳出削減の方がより持続的な成果を得られる公算が大きいとした。

ECBは、欧州委員会、国際通貨基金(IMF)の3者で構成する「トロイカ」の一員として、支援の条件として高債務国に対し増税や歳出削減を含む緊縮措置の実施を要求していた。だが最近では、ユーロ圏のぜい弱な景気回復を支援するため、欧州連合(EU)規定の範囲内で財政政策を緩和するよう求めている。

ただ論文の主張は著者自身のものであり、ECBの見解を反映したものではない。

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