日産もタカタ製インフレーターを不採用、エアバッグ問題で
[東京 7日 ロイター] - タカタ製エアバッグのリコール(回収・無償修理)問題をめぐり、日産自動車は7日、硝酸アンモニウムを使ったタカタ製インフレーター(ガス発生装置)を今後開発する車に採用しないと発表した。最大顧客のホンダを始め、タカタ製を多く使用していた大手自動車メーカーのほとんどが全世界で不採用の方針を打ち出した。
日産自の広報担当者は「顧客の安全が最優先」であり、「将来のモデルに硝酸アンモニウムを使ったインフレ―ターを使わないと決めた」とコメントした。
すでにマツダが5日、開発中の車両から硝酸アンモニウムによるインフレーターの不採用を表明。トヨタ自動車も生産中・開発中を問わず使用しない考えで、豊田章男社長は6日、「タカタ製の硝酸アンモニウムタイプのインフレーターは今後は使用しない」と明言した。富士重工業や三菱自動車も同様で、両社は市場に出回っている車の交換用としてもタカタ製を使用しない方針だ。
米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、高温多湿に弱い硝酸アンモニウムがエアバッグの異常破裂を引き起こし米国内での死傷事故につながったとみて、10月末以降、同国内で硝酸アンモニウムを使ったインフレーターを搭載するエアバッグの新規契約を結ばないようタカタに強く要請、同社は同意した。ホンダはまた、タカタから提出された試験データに不適切な報告があったことも指摘している。
タカタはエアバッグを膨らませるガス発生剤の9割以上に硝酸アンモニウムを使っている。今後は硝酸アンモニウムの代わりとして、同業他社が採用している硝酸グアニジンと呼ばれる物質を使用していくことを決めたが、切り替えは「来期以降になる」(野村洋一郎最高財務責任者)という。
タカタが負担を決めたリコール費用は現時点では、自社に責任があると認めた約950万台分にとどまる。原因調査中の約4000万台は合理的な金額が見積もれないとして費用を計上していない。追加リコール費用は約3000億円との試算もあるほか、損害賠償を求める集団訴訟も複数抱えている。その影響額も現時点では不明で、今後、同社の収益・財務基盤の悪化が懸念される。
(白木真紀 編集:北松克朗)
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