米FRB当局者、雇用統計を良好と評価 12月利上げの公算強まる
[6日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者2人は6日、朝方発表された10月の米雇用統計を「非常に良好」な内容と評価し、12月利上げの公算が強まっていることを示唆した。
10月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が27万1000人増と、市場予想を上回り2014年12月以来の大幅増となった。失業率も2008年4月以来7年半ぶりの水準となる5.0%に低下した。
シカゴ地区連銀のエバンズ総裁はCNBCとのインタビューで「われわれは状況が利上げに適切なようだと示唆してきた」とし、「実体経済はそれ以上に改善しているようだ」と語った。
同時に、12月会合では利上げの可能性に先入観を抱かずに臨む考えを表明した。エバンズ総裁は今年、連邦公開市場委員会(FOMC)の投票権を持つ。これまで、2016年の利上げ実施を望むとの立場を示してきたが、10月には金利の道筋を緩やかにすることが利上げ開始時期よりも重要と発言し、態度を軟化させていた。
9月会合で利上げを主張したセントルイス地区連銀のブラード総裁はこの日、米経済は事実上、完全雇用の状態にあるとし、「最高の出来と言えるのではないか」と述べた。
ブラード総裁はさらに、インフレ率が2016年末までにFRBの目標を達成する水準まで上昇し、当面は同目標を上回って推移するとの見方を示したほか、失業率は4%まで低下する可能性があると指摘した。
米金利先物市場では、FRBが72%の確率で12月15━16日のFOMCで利上げに踏み切るとの見方が織り込まれた。前日は58%だった。
利上げ開始後の金利の上昇ペースにも注意が向けられている。
エバンズ総裁は、インフレ率がFRBの目標からなお程遠い状況下で利上げに踏み切る影響を懸念しているとの考えを重ねて示し、FRBは利上げペースが緩やかであると伝える必要があるとした。
賃金の上昇ペースがさらに加速することを確認したいとの見方も示した。
ブラード総裁は、FRB当局者が金利は緩やかに上昇すべきとの見解で一致しているものの、初回利上げ後の2度目の利上げを実施する時期を含め、「健全な」議論を行っていく必要があると強調。「2度目の利上げを実施して初めて、『緩やか』の言葉が意味することが明らかになる」と述べた。
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