日銀支店長会議、中国減速の影響は現段階で緩やか 全地域が景気回復

2015年10月19日(月)20時27分

[東京 19日 ロイター] - 日銀は19日、本店で支店長会議を開催した。各地の経済情勢を分析した「地域経済報告」(さくらリポート)では全9地域が景気は回復しているとの認識を示し、前回7月の判断を据え置いた。

会見に臨んだ支店長らは、中国をはじめとした新興国経済の動向が先行きリスクと指摘しながらも、現段階で地域経済への影響は緩やかなものにとどまっているとの見解を示した。

<3地域が輸出・生産に新興国減速の影響>

さくらリポートで全地域が景気判断を据え置くのは2014年7月以来、5四半期ぶり。すべての地域が景気の現状を「緩やかに回復している」、または「回復している」など「回復」と表現するのは、同年1月調査から8四半期連続となる。

このうち関東甲信越、東海、近畿という輸出産業を比較的多く抱える地域では、輸出や生産に中国をはじめとした新興国減速の影響が見られている、との表現が景気判断に加わった。

ただ、これらの地域を含めて国内需要は「設備投資が緩やかな増加基調にあり、個人消費も雇用・所得環境の着実な改善を背景に底堅く推移している」とされ、所得から支出へという景気の前向きな循環メカニズムは維持されているとの認識が示された。

<設備投資の先送りも見られず>

会見に臨んだ支店長らは、中国など新興国経済減速について、先行きリスクとして注意が必要としながらも、現時点で地域経済全体に大きな影響は与えていないとの見解を示した。

宮野谷篤大阪支店長は、スマートフォン(スマホ)関連の輸出や訪日外国人客(インバウンド)需要など「関西経済の中国依存度は高まっている」としたが、輸出は中国経済の影響を受けやすい輸送用機器と一般機械の割合が低いことに加え、スマホ関連は「高品質の電子部品・部材が強い国際競争力を発揮している」と指摘。さらに、調理・美容家電や化粧品、化粧品、紙おむつなど旺盛なインバウンド需要が「関西の生産を下支えしている」と語った。

梅森徹名古屋支店長も、主力の米国向け輸出が好調なことや、製品の競争力の高さなどを背景に「中国経済減速の影響は、比較的マイルドにとどまっている」と説明。杉本芳浩札幌支店長と秋山修福岡支店長は「全体に大きな影響は見られていない」と語った。

各支店長とも、夏場の中国株急落後もインバウンド需要は衰えていないとし、その背景として「通貨元が切り下げられたものの、3年前と比較して5割円安であるうえ、中国やアジア各国の所得向上が続いているため」(宮野谷大阪支店長)などと構造的な変化を指摘した。また、好調な設備投資計画への影響についても「先送りするスタンスは表れていない」(梅森名古屋支店長)との見方を示した。

*内容を追加しました。

(伊藤純夫 竹本能文)

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