来週は原油や新興国通貨の反発継続で一段のドル安も

2015年10月9日(金)17時16分

[東京 9日 ロイター] - 来週の外為市場では、予想外に弱い内容となった9月の米雇用統計以降、価格が持ち直している原油や資源国・新興国通貨の動向が注目される。反発が継続するようなら一段のドル安が見込まれるが、ドル/円では、レンジ取引を想定するオプションが相場の上下変動を抑制する可能性も指摘されている。

予想レンジはドル/円が118.50―121.50円、ユーロ/ドルが1.1150―1.1350ドル。

<米利上げのタイミング>

9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、利上げ開始先送りが際どい判断であったことが確認された一方で、経済とインフレ見通しの下振れリスクに対して想定より多い投票権者が懸念を示したことが明らかになった。ドルは議事要旨の内容を受けて発表当日(8日)に119.68円付近まで下落した。

SMBC日興証券、海外担当チーフエコノミスト、丸山義正氏は、投票権者10名のうち「『数名(Several)』が下振れリスクに懸念を示し、『数名(Some)』がインフレの2%目標への回帰に自信が深まらなかった点を吐露した旨を踏まえると、実際の利上げ開始決断への距離は必ずしも近くない印象がある」とし、利上げ開始が来年3月まで後ずれする可能性を指摘する。

<原油や新興国通貨の反発の持続性がカギ>

一方、原油やコモディティ関連の新興国通貨や豪ドルでは、9月の米雇用統計発表以降、反発傾向が鮮明になっている。

「原油の反発基調が特徴的で、インドネシア・ルピアやマレーシア・リンギットも急反発している。この動きが定着するかは不確かだが、コモディティ価格が続伸すれば、ドル/円も影響を受け、119円台半ば方向への弱含みとなりそうだ」とマネックス証券、シニア・ストラテジストの山本雅文氏はみている。

ルピアやリンギットの反発について、山本氏は、ファンダメンタルズ面に特段の好材料があるわけではないが「8月の世界同時株安で成績が暗転した多くのファンド勢は、長期でリスクを取りにくくなっているため、トレンドに逆らう体力もなさそうだ」との見方を示した。

<レンジ相場を想定するオプション>

ドル/円相場は、9月1日から118.50―121.50円のレンジ内での取引が続いている。

背景の一つとして、ダブル・ノー・タッチオプションやレンジ・バイナリ―・オプションなど、ドル/円のレンジ内での値動きを想定したオプションが活発に造成されたことがあるという。

「日米の金融政策が不透明になるなか、こうしたオプションが、ますますレンジ感を強める結果を招いている」(証券会社)という。ただ、これらのオプションの収益性は次第に低下してきていることから「オプションがもたらす自己実現的なこう着感から、そろそろ抜け出す可能性もある」(同)とみられる。

(為替マーケットチーム)

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