米9月雇用14.2万人増に鈍化、前月も下方修正で年内利上げに疑問符
[ワシントン 2日 ロイター] - 米労働省が発表した9月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が14万2000人増にとどまり、伸びは市場予想の20万3000人増を大きく下回った。8月分も13万6000人増に下方修正され、7、8月の伸びは当初よりも5万9000人下回るなど、雇用の勢いに急ブレーキがかかった。賃金も減少し、米経済が年内の利上げに耐え得るのか疑問符がつく内容となった。
失業率は5.1%で変わらずだった。2カ月間の伸びは過去1年間で最低となり、中国をはじめとする世界経済の減速が米経済に影を落としているとの不安を誘いそうだ。
ウエルズファーゴ・ファンズ・マネジメント(ウィスコンシン州)のポートフォリオ・ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「今回の統計はお世辞にも良い内容とはいえない」と述べた。
内訳では、民間部門で製造関連が9000人減少し、前月の1万8000人減からさらに落ち込んだ。原油価格が1年間で5割近く値下がりするなか、エネルギーなど鉱業関連が1万人減と9カ月連続で落ち込んだ。
家計調査によると、労働人口は35万人減少。就業者数も23万6000人減少した。労働力参加率は62.4%に低下し、1977年以降で最低となった。
時間当たり賃金は25.09ドルで、前月の25.10ドルから微減。前年同月比では2.2%増加した。平均週間労働時間は前月の34.6時間から34.5時間に小幅縮小した。
こうしたなか、長めの時間勤務を希望するパートタイム就業者の数は600万人と44万7000人減少し、数少ない前向きな材料となった。
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は前週の講演で、インフレが引き続き安定的に推移し米経済が雇用拡大に向け力強い状態であれば、FRBは年内に利上げを開始するとの見方を示しているが、今回の雇用統計を受け、年内の利上げ観測は弱まりそうだ。
米短期金利先物が織り込む12月の利上げ確率は27%に低下。雇用統計発表前は44%だった。10月の利上げの可能性はほぼゼロとみられている。
RBCキャピタルマーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーセリ氏は、統計が全般的に弱かったとした上で「軟調な世界動向に今回こうしたさえない指標が加わったことで、12月の米利上げ確率は低下したと考えられる」と述べた。
米大統領経済諮問委員会(CEA)のファーマン委員長は、雇用統計への反応で、軟調な世界経済の影響が米国経済にも波及しており、国内の雇用に影を落としているとの認識を示した。
雇用統計を受け、序盤の米国株式市場では主要株価指数が軒並み1%超下落。米国債利回りは低下し、ドルは主要通貨に対して値下がりした。
*以下の図表もご覧ください。
http://graphics.thomsonreuters.com/14/unemployment/index.html
http://graphics.thomsonreuters.com/14/yellen/index.html
http://link.reuters.com/hyp84w
http://link.reuters.com/nyr52w
http://link.reuters.com/dex79v
http://link.reuters.com/das47s
http://link.reuters.com/rum98v
http://link.reuters.com/wym98v
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