キリンHD、ミャンマーのビール最大手買収 成長市場に事業基盤

2015年8月19日(水)20時43分

[東京 19日 ロイター] - キリンホールディングス は19日、東南アジアの地域統括会社、キリンホールディングスシンガポールがミャンマー最大のビールメーカー、ミャンマー・ブルワリー(MBL)を買収したと正式発表した。55%の株式を5億6000万ドル(約697億円)で取得した。国内のビール市場が縮小するなか、成長に向け、需要が増加している新興国での事業を強化する。

MBLは「ミャンマー・ビール」、「アンダマン・ゴールド」などのブランドを持っており、ミャンマーで約80%のシェアを有する。

キリンHDの西村慶介・常務執行役員は会見で「MBLにキリンの技術・ノウハウを加え、一層の成長を図りたい」と述べた。

ミャンマーのビール市場は21万キロリットル(キリン推定)。ひとり当たりのビール消費量は低水準で「ビール市場成長が初期段階であり、将来大きな成長が見込める」(西村氏)としている。

ただ、ミャンマーのビール市場には、蘭ハイネケンやデンマークのカールスバーグが参入、競争激化が予想される。西村氏は、MBLはスタンダードビール、ハイネケンなどはプレミアムビールを手掛けていることから「MBLは競争力を維持しながら、プライスリーダーシップを取っていく」とした。

キリンHDは、シンガポールのフレーザー・アンド・ニーブ(F&N)が保有していた55%の株式を19日に買い取った。MBL社の株主だったF&N社とミャンマー・エコノミック・ホールディングス(MEHL)による係争の結果、F&NはMBL株を売却することとなり、MEHLがキリンをノミニ―として指名した。

取得資金は外部借り入れで充当。残り45%はMEHLが保有している。今後の買い増しの可能性については「現時点で何も決まっていない」としながらも、現地企業と組むことのメリットがあるため「(MEHLとの)関係は、中長期的に維持される」との見方を示した。

キリンHDの2014年12月期の海外総合飲料事業の売上高比率は31%。今回の買収により、東南アジア地域での事業基盤構築を図るとしている。同社の東南アジアでのビール事業基盤は、フィリピンのサンミゲル・ブルワリーに続くものとなる。

クレディ・スイス証券アナリストの森将司氏は「新興国でシェア1位の会社を買収することは評価できる一方、各社の参入で競争は厳しくなっている」と指摘。現時点での印象は「ミックス」としている。

MBLの2014年9月期の売上高は約250億円、税引後純利益は約64億円。今回の買収がキリンHDの業績に与える影響は軽微で、2015年12月期の業績予想の変更はない。

*内容を追加します。

(清水律子 取材協力:金昌蘭)

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