米雇用コスト指数伸び過去最少、低迷一時的か
[ワシントン 31日 ロイター] - 米労働省が31日発表した第2・四半期の雇用コスト指数は前期比で0.2%上昇した。1982年の第2・四半期に統計が始まって以来33年ぶりの小さな伸びで、市場予想の0.6%上昇も下回った。
ただ、雇用市場は引き締まりつつあり、低迷は一時的なものとみられる。第1・四半期は0.7%上昇で改定はなかった。
第2・四半期は雇用コストの7割を占める賃金・給与が0.2%上昇。第1・四半期は0.7%上昇だった。民間部門の賃金・給与も0.2%上昇した。前期は0.7%上昇だった。
民間部門の雇用コストは横ばいで、統計開始以来続いてきた上昇が止まった。サービス部門では雇用コストは0.1%上昇したが、こちらも前期の0.6%上昇から伸びが鈍化した。一方、製造業では0.7%上昇となり、前期の0.5%上昇から伸び率が拡大した。
前年同期比の全体の雇用コスト指数は2.0%上昇と、昨年以来の小さな伸びとなった。物価上昇率が米連邦準備理事会(FRB)の中期的な目標である2%近辺に戻るのに必要とされる3%の水準からさらに遠ざかった。
年初めは手数料が賃金を押し上げた面もあり、第2・四半期の雇用コストの伸び鈍化は、賃金の伸び減速を示唆するものではないとみられる。ここ数年間で雇用市場のスラック(需給の緩み)は著しく減っており、今後は賃金に上昇圧力がかかることが見込まれる。
雇用コストは予想に反して小幅な上昇にとどまったが、FBRが年内に利上げするとの見方は変わらないとみられる。失業率は5.3%と、FRBの大半のメンバーが完全雇用とみなす5.0─5.2%に近い。雇用コスト指数は、労働市場のスラックをより正確に反映する指標として政策当局者やエコノミストが注目している。コア物価上昇率の見通しを判断する基準ともされている。
TDセキュリティーズのチーフ・エコノミスト、エリック・グリーン氏は「この指標はたびたび乱高下する。雇用コストの急激な鈍化は上昇傾向にある他の賃金関連の指標と一致しない」と述べ、FRBが今回の統計で消極的になることはないだろうとの見方を示した。
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