日本の当局者がギリシャ情勢で意見交換、株安・円高を注視
[東京 29日 ロイター] - ギリシャ債務問題の深刻化を受け、財務省、金融庁、日本銀行の3つの当局の実務担当者が29日朝、財務省内で日本経済や金融・資本市場の影響について協議した。現時点でギリシャ情勢が日本経済に深刻な影響を与える可能性は低いとみられているが、政府・日銀の関係当局が情報を緊密に交換し、不測の事態が発生した際に迅速に対応できるようにする狙いがありそうだ。
出席したのは3当局の局長・課長クラス。国際金融や金融システムなどの状況に精通している担当者が集まり、実務的な協議を行った。
関係者によると、ギリシャ情勢が日本経済や金融市場、金融システムに与える影響などについて、現状の認識を含めて情報交換が行われたもよう。
会合で「具体的に何か決まったということはない」(関係者)というが、ギリシャ問題を受けた株安・円高の進行などの影響を注視していく考えが、共有されたとみられる。
29日の東京市場では、ギリシャ支援に対する欧州連合(EU)など債権団と同国の協議が決裂したことを受け、大幅な株安・円高が進行した。現段階では日本の経済や金融市場への影響は限定的との見方が多いが、29日の欧州市場の動向を含めて今後の展開は予断を許さない。
30日に国際通貨基金(IMF)への債務返済期限を迎え、ギリシャは来月5日にEUなどが金融支援の条件として示した構造改革案の是非を問う国民投票を実施する予定。こうしたイベントやギリシャ情勢をにらみながら、今後も必要に応じて当局間で情報交換し、対応に万全を期す方針だ。
政府・日銀が、ギリシャと並んで注視しているのが中国。実体経済面では成長の減速を示す指標が増える中で、急上昇していた上海株が急落。中国実体経済をさらに下押しするのであれば、日本の輸出・生産にも影響が出るためだ。
これまでのアベノミクスは、1)世界経済の順調な成長、2)緩やかな円安・株高進行──がサポート要因となって、日本の成長率を押し上げてきた。
しかし、直近の欧州や中国の経済的な変動要因は、これまでの良好な外的環境を崩すおそれがあり、政府・日銀は今後もこうした点を注意深く点検していく。
(伊藤純夫、竹本能文、和田崇彦 編集:田巻一彦)
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