中国、5月輸入が2桁減で内需の弱さ鮮明 追加刺激策必要に

2015年6月8日(月)17時02分

[北京 8日 ロイター] - 5月の中国貿易統計は、輸出が予想ほど落ち込まなかったものの、輸入は2桁の減少率を記録、経済成長の急減速を回避するためには一段の景気対策が必要なことを示唆した。

税関当局のデータによると、5月の輸出は前年比2.5%減少、輸入が17.6%減少。貿易収支は594億9000万ドルの黒字となった。

ロイターが集計した市場予想は、輸出が5.0%減、輸入が10.7%減、貿易収支は449億5000万ドルの黒字だった。

招商証券(深セン)のマクロストラテジスト、LIU YAXIN氏は「統計全般から言えるのは、中国経済が依然、底を探っている状況ということだ。政府が一段の(経済)安定化措置を打ち出すなか、貿易は今後4─5カ月にわたり低迷し続けると予想する」と述べ、人民元相場が相対的に強いため、中国企業が国際市場で競争力を欠いている状態と指摘した。

エコノミストらは、輸入の落ち込みが続いているのは、国内経済が弱いことの表れと指摘。加えて不安定な世界需要と人民元の相対的な強さにより、今年の貿易目標(6%増)は達成できるか疑問としている。

5月の貿易黒字額は過去最高に近い水準だったものの、輸入の落ち込みは国内消費の減速を鮮明にした。

すでに多くのアナリストが、第2・四半期の成長率は7%を切ると予想しており、今年の目標(約7%)達成に不透明感が漂う。

5月の輸出を国・地域別でみると、最大の輸出先である米国が前年比7.8%増加する一方、2番目の欧州連合(EU)向けは6.9%減少した。

人民元はドル以外の主要通貨に対してここ数カ月上昇し、貿易加重平均ベースの人民元相場も上昇した。ただ、李克強首相は人民元の切り下げの可能性を否定している。

<内需の低迷>

税関データによると、5月の鉄鉱石と原油の輸入はいずれも約11%減少。国内需要が低迷し、供給過剰であることを示した。鉄鋼メーカーは安値でも輸出せざるを得ないという。

2014年の貿易は3.4%増で、政府目標(7.5%増)の半分にも満たない伸びにとどまった。

1─5月の貿易は前年同期比8.0%の減少。

JPモルガン・チェースの中国エコノミスト、ZHU HAIBIN氏は「政府は今年の貿易目標を6%増としているが、輸入の弱さを踏まえると現段階で目標は達成できないとみられる」と指摘、たとえ輸出が伸びても目標達成は厳しいとみている。

中国人民銀行(中央銀行)は、2回の銀行預金準備率の引き下げ、5月には過去半年で3回目の利下げを実施した。

ロイターの直近のエコノミスト調査では、景気刺激策のおかげで経済の安定化を示すとの見方が示された。

*内容を追加します。

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