アングル:ダウ輸送株伸び悩み、米株天井のシグナルか

2015年5月19日(火)15時04分

[ニューヨーク 18日 ロイター] - 18日の米国株式市場では、ダウ工業株30種とS&P総合500種がともに終値ベースで最高値を更新、米国株市場は全般に上昇基調が続いている。半面、ダウ輸送株20種が伸び悩んでいることから、米株高は長続きしないとの見方も広がっている。

ダウ理論では、工業株など主要指数が最高値をつけた場合、その上昇は輸送株の同様の上昇により確認されなければならないとされる。

オニール・セキュリティーズ(ニューヨーク)のNYSE(ニューヨーク証券取引所)フロア部門責任者、ケン・ポルカリ氏は「輸送株が上昇に転じるか、ダウが下落に転じるか、どちらかの動きになるはず」と指摘。「遅かれ早かれ、いずれかの展開になる」との見方を示した。

<年初来騰落、ダウ工業株とS&Pは3%高 輸送株5%安>

ダウ工業株は年初から3%上昇、S&P500は3%超上昇した。しかし、輸送株は追随しないどころか、ほぼ5%の下落となっている。

先週はダウが直近高値に接近する一方、輸送株は1%下落。業績見通しを撤回し、2015年の設備投資計画を下方修正した鉄道大手カンザスシティー・サザンが6.7%下落、指数の重しとなった。

インスティネット(ニューヨーク)のテクニカルマーケットアナリスト兼トレーダー、フランク・カッペレーリ氏は「最も顕著なダイバージェンスの1つが輸送株のアンダーパフォーマンス」とし「市場関係者の多くが注目している。支持線は非常にはっきりしている」と述べた。

テクニカル的に見て、輸送株の支持線は8600。指数は昨年10月後半に8600を上抜け、その後も概ねこの水準を上回って推移している。支持線を明確に割り込めば下げが加速する可能性がある。

一方で、ダウ輸送株20種が上向かなくとも、ダウ工業株30種やS&P総合500種は上昇を続ける可能性があるとの声も聞かれる。

BTIG(ニューヨーク)のチーフテクニカルストラテジスト、ケイティ・ストックトン氏は、ダウ理論は現存のトレンドに適用するものだと指摘し、目先の株価について強気を維持している。同氏は、工業株と輸送株の方向性が変化している局面であれば、ダウ理論は有効とする。

同氏は、ロイターとのインタビューのなかで「仮に、ダウ工業株30種が下方トレンドにあり、その下方トレンドから脱却しつつあるといった状況であるならば、輸送株による確認が必要になる」と語った。

(Chuck Mikolajczak記者 翻訳:吉川彩 編集:橋本俊樹)

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