ドルは119円前半、FOMCや日銀決定会合控え小動き
[東京 28日 ロイター] - 正午のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点とほぼ変わらずの119円前半。米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合を間近に控え、実需筋、投機筋とも動きが低迷し、方向感に乏しい値動きとなった。
ドルは、早朝に119.02円と小安く始まったが、仲値公示付近で119.20円まで上値を伸ばした。月末特有の実需のフローが下値を支えた。ただ、明日から2日間の日程で始まる米連邦公開市場委員会(FOMC)がハト派寄りになるとの見方も出ており、「積極的に上値を追う雰囲気にはなっていない」(邦銀)とされ、上値の伸びは限られた。また、米中期債金利の低下も、ドル買いを抑制した。
前日実施された米2年国債入札では最高落札利回りが0.540%と、3月の0.598%から低下し1月以来の低水準になった。
<安倍首相の米議会演説に関心>
市場では、29日に予定される安倍首相の米議会演説に関心が寄せられている。
米議会では現在、TPA(大統領貿易促進権限)の審議が進められている。
「最大の焦点は、貿易相手国の為替操作を防止する条項だ。ベトナムやシンガポールなど一部のTPP加盟国・交渉参加国は、為替相場をマクロ政策の手段として用いている。この条項を含んだままだと、TPAはTPP交渉を加速させるどころか、頓挫させかねない」とシティグループ証券、外国為替本部、チーフFXストラテジスト・高島修氏は指摘する。
米財務省は、その削除に躍起になっており、日本の財務省もそれに協力したいところだろう、と同氏はみている。
こうした特殊な政治環境のなか、「安倍首相の議会演説の中に、アベノミクスは円安による近隣窮乏化を目指す政策ではないとの建前を語るぐらいのリップサービスが盛り込まれることがあってもおかしくないだろう」と同氏は述べ、実際にそうなれば、今後数カ月にわたって日銀は追加緩和には動きにくくなり、GPIFなど公的マネーによる外貨投資も影響を受けるかもしれないとの見方を示した。
また、海外短期筋の中には、円ロングを試みる先が増える可能性もある、という。
<ユーロはバルファキス氏の交渉団内降格を好感>
ユーロは1.0876ドル付近で、朝方から安定的な足取り。
前日は、ギリシャのチプラス首相が、債権団との交渉に当たるチームを再編し、前週のユーロ圏財務相会合で激しい非難を浴びたバルファキス財務相を降格させた。
これを好感した為替市場では、ユーロのショートカバーが誘発され、ユーロは一時1.0927ドルと約3週間ぶり高値まで買い戻された。
ユーロ圏当局者は「彼(バルファキス氏)の振る舞いが、ギリシャとの交渉にさらなる障害をもたらしていた。役割縮小によって障害が取り除かれる」との見方を示した。
他方、別の当局者は、チーム再編が債権団の求める包括的な改革案をもたらすとの見方を疑問視した。
<英ポンドが7週間半ぶり高値>
英ポンド
英ポンド高のきっかけは、ロード・アシュクロフトが行った最新の世論調査。
5月7日の英総選挙を10日後に控える中、同社が行った調査では与党・保守党が支持率で野党・労働党に6ポイントの差をつけた。
保守党の支持率は2%上昇の36%、労働党は変わらずの30%となった。
ドル/円
正午現在 119.06/08 1.0874/78 129.48/52
午前9時現在 119.12/14 1.0875/79 129.55/59
NY午後5時 119.03/05 1.0888/93 129.65/69
(為替マーケットチーム)
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