中国の不動産開発会社に巨額隠れ債務の恐れ、合弁形態が要因か

2015年4月23日(木)17時06分

[香港 23日 ロイター] - 中国の住宅市場が急激な販売不振に陥る中で、投資家や格付け会社は不動産デベロッパーが実際に抱える負債額を算出するという困難な課題に直面している。

中国の地価上昇を受けてデベロッパーはこの2年間、建設プロジェクトで他社とチームを組む合弁事業の形態を取るケースがますます増えている。中には一つの開発案件に6社が参加するものもある。

国際会計基準では、企業が合弁事業において支配持分を持たない場合は、合弁事業の詳細や債務を貸借対照表上に記載せず、その代わりに事業に対する出資額を明らかにすればよい。

この慣行が現在、企業の信用リスク査定を試みる投資家たちを不愉快にさせつつある。中国の景気減速が進む中で、投資家はデベロッパーの簿外債務の規模の大きさを過小評価しているのではないかと懸念しているのだ。

アドミラル・インベストメントのビクター・イェン最高投資責任者(CIO)は「透明性は傘のようなものだ。雨が降るまで誰も傘のことは気にしない。市場は情報公開が不十分なことに段々と気付き始めている。これにより業界全体のリスクプレミアムが上昇している」と話す。

経営難の不動産開発会社、佳兆業集団は2月、わずか6カ月あまりの間に債務額が2倍超に増えたことを明らかにして投資家を驚愕させた。理由はまだ明らかになっていないが、複数のアナリストは合弁プロジェクトの借り入れが、債務の急増を説明する一つの要素であることを示唆する。

佳兆業は20日、社債の利払いができずにデフォルト(債務不履行)に陥った。合弁事業に関するコメントは控えている。

また香港の富豪である李嘉誠氏の企業グループ再編は、合弁事業における簿外債務の規模の大きさを示す一例となった。

同氏が率いる大型コングロマリット(複合企業)の長江実業とハチソン・ワンポア(和記黄埔)の合併・再編に伴って生まれた不動産事業統括の長江実業地産の開示文書によると、昨年末時点の調整後の借入額は168億香港ドルだった。この金額は長江実業とハチソンが報告していた債務の合計14億香港ドルの12倍にも達する。

開示文書では、2社が保有する多くの合弁事業を新会社に統合しなければならず、新会社が支配持分を保有するためだと説明している。

長江実業とハチソンはコメントの要請に応じなかった。

今年第1・四半期の中国の不動産投資は、デベロッパーが在庫の一掃に集中的に取り組んだことから、2009年以来の低い伸びにとどまっている。

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