焦点:米労働市場の緩みさらに解消、利上げ後押し

2015年4月23日(木)16時26分

[ワシントン 22日 ロイター] - 米国ではパートタイム労働者数が徐々に減少、長期的な平均水準に近づいている。これは、パートタイムという労働市場の主要部分でスラック(需給の緩み)がほぼ解消された可能性を示唆しており、米連邦準備理事会(FRB)が利上げを遅らせる理由がまた1つ減ったことになる。

FRBは、労働市場の状態を判断する上で、パートタイム労働者の数を注視している。パートタイム労働者数は現在、労働市場が過熱していた1990年代や2000年代初頭と比べるとなお高水準にとどまっているが、その数は今や長期的に見た平均水準に接近しつつある。

ロイター/イプソスのオンライン調査によると、パートタイム労働者が希望する労働時間と、実際の労働時間との間に、ほとんど差がないことが分かった。調査では、週労働時間が30時間を下回っているパートタイム労働者の3分の1以上が、今の労働時間に満足しているか、または時間を減らしたいと回答。残りは労働時間を増やしたいと答えたが、伝統的な週40時間労働を希望したのは23%に過ぎなかった。

また週30時間以上働いているパートタイム労働者については、労働時間を現在よりも減らしたいとの希望が強いことが判明した。この層では4分の1の人が、労働時間を週1─18時間減らしたいと答えた。

FRBは現在、6月に利上げするか、より力強い景気回復が確認されるのを待つべきか、検討を行っているとされる。失業率が現在5.5%と、金融危機前の水準付近に改善するなか、FRBは失業率以外にも労働市場のさまざまな側面について精査していると見られる。

政府がまとめている労働調査によると、フルタイムで働きたいが、パートタイムの職しか見つからなかった人の割合は、3月時点で全体の4.5%。リセッション(景気後退)終えん期の2009年の6.5%から低下、1975年以降の平均値である約3.9%に接近している。

<パートタイムは着実に減少>

現在はパートタイムで働いているが、フルタイムの職に移行する人が今後増加する、という点で、FRBの政策当局者やエコノミストらは概ね一致している。論点は、パートタイムからフルタイムへの移行が数百万人規模で起きるのか、もしくは、その数は90万人程度になるのか、という点だ。仮に90万人がパートからフルタイムに移れば、パートタイム労働者数は1970年代以降の平均値に減少することになる。

FRBの元エコノミストで、現在は国際通貨基金(IMF)でリサーチフェローを務めるアンドリュー・レビン氏は、インフレ率が上向き始めるまでは、不本意にパートタイムで働いている人が減少する余地はあると指摘。「インフレ率は恒常的に2%を下回っている。物価安定を望むのであれば、雇用を最大限押し上げることが肝要」と述べた。

一方、賃金の伸び悩みや低い労働参加率などを理由に、なお緩みがあると指摘する向きも少なくない。コチャラコタ米ミネアポリス地区連銀総裁らは、利上げは少なくとも来年まで延期すべきと主張している。

(Howard Schneider記者 翻訳:吉川彩 編集:吉瀬邦彦)

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