ドル119円後半、120円台の滞空時間短く伸び悩み
[東京 23日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点とほぼ変わらずの119円後半。日経平均株価が2万円台を維持する中、朝方からじり高となり、9日ぶりに120円台に乗せた。ただ、実需の売りで120円台の滞空時間は短く、午後には投機筋がロングを投げる展開となった。
前日、米国の株式市場と長期金利が上昇したことを受け、ドル/円は朝方から底堅さが意識されていた。日経平均が2万円台でしっかり推移すると、じりじり値を上げ、4月14日以来となる120円台に乗せた。
仲値に向けて120.10円まで上昇したものの、その後は伸びの勢いを欠き、正午にかけて高値圏でもみあった。市場では「統一地方選の後半戦やTPP交渉などもあるので、一辺倒に上方向には行きづらい」(信託銀行)との見方が出ていた。
午前中の上昇局面では、ヘッジファンドなど投機筋の買いフローも散見されたという。「ヘッジファンドの間では、前日発表された米住宅指標が強かったことや、足元で原油価格が持ち直していることなどから、9月に向けて米国が順調に利上げ準備をするとのシナリオが優勢になっている」と野村証券、チーフ為替ストラテジストの池田雄之輔氏は言う。
日銀の追加緩和については、「4月はないと思っている向きが多いようだ。ただ、本格的にドルロングを構築するのは5月からになりそうだ」と池田氏は言う。
午後に入って、「120円台で輸出企業が引き続きオファーを出していたが、120円台での滞空時間が短かかったので、取引が成立しなかった。特に材料はないが、朝ドルを買った投機筋が投げている」(外銀)とされ、こうしたロングの手仕舞いを受けて、ドルは一時119.66円付近まで下押しした。
<中国のPMIと元高誘導>
中国の4月HSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は49.2で、3月の49.6から低下。ロイターがまとめた市場予想(49.6)も小幅に下回ったが、外為市場の反応は限定的だった。
一方、中国国家外為管理局(SAFE)の国際収支部門の責任者は23日、資本流出の動きは「正常」で、資本逃避とは解釈されないと語った。
同高官は、資本フローは不安定になり、資本流出が続く可能性を指摘したうえで、資本流出を抑制する措置をとる計画はないとした。さらに、人民元の一段の下落は望まないとした。
SAFE高官の発言に先立つ12日、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は中国からの資本逃避に言及し、「正常な資本流出」に比べて小規模であるとの認識を示した。また、中国からの資本流出の大半は、実際の取引に基づくものだと指摘した。
人民銀行は、昨年2月、投機資金の流入を抑えるために元安誘導を実施し、これを受けて人民元は昨年1―5月に対ドルで3%下落した。
しかし、結果的に元安が資本逃避に拍車をかけたため、昨年半ばから10月末にかけては元高誘導を実施。同期間に人民元
昨年11月以降は、人民元は下げ基調となり、3月3日に6.2763元まで下落した。しかし、足もとでは「またもや資本投資が活発化しているもようで、それを抑制するための元高誘導が行われている」(外銀)という。
この日は正午時点で1ドル=6.1972元だった。
<日米金融政策イベント控え動きづらいとの声も>
朝方には「米国の10年債利回りが2%にしっかり乗ってくれば、ドル高機運が高まるかもしれない。ただ、米連邦公開市場委員会(FOMC)や日銀金融政策決定会合を来週に控え、積極的に上がっていく展開にもなりにくい」(国内金融機関)との声が出ていた。
来週30日の日銀金融政策決定会合では、金融政策が現状維持となる可能性が指摘されており、市場では「追加緩和期待も高まっているという感じはそれほどない」(外為アナリスト)という。ただ「日銀の物価見通し下方修正の観測記事などで、ひょっとしたらあるかもしれないという見方もある」(同)とされ、注意が必要だという。
きょうは日銀の黒田東彦総裁が参院財政金融委員会に出席し、発言も伝わってきているが、反応は限定的となっている。
ドル/円
午後3時現在 119.84/86 1.0705/09 128.30/34
正午現在 119.96/98 1.0696/00 128.32/36
午前9時現在 119.94/96 1.0723/27 128.62/66
NY午後5時 119.89/92 1.0723/26 128.59/63
(為替マーケットチーム)
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