ANAがスカイマーク支援、ファンドなどと180億円出資
[東京 22日 ロイター] - 民事再生手続き中の航空会社スカイマーク
スカイマークは今後、ANAによる支援策を盛り込んだ再生計画案を5月29日までに東京地裁に提出し、再生に向けた動きを本格化させる。ANAは共同運航や燃油の共同調達、安全・整備面などでスカイマークを支援する方針で、ANAとインテグラルはスカイマークを5年以内に再上場させることを目指す。
再生計画案が東京地裁や債権者に認められた後、スカイマークの有森正和社長と井出隆司会長は退任し、経営陣を刷新する。会長をインテグラルが、社長をANAか他の株主が指名する。従業員の雇用も原則、維持する。
スカイマークは100%減資を行い、再生計画案が認可された後、第3者割当増資を実施。インテグラルとANAなどがこれを引き受ける。ANAが最大19.9%、インテグラルが50.1%を出資。残りの30%はANAと取引関係のある三井住友銀行、日本政策投資銀行などの金融機関が出資する方向で調整する。
<ANAに後ろ盾を期待>
180億円全額を再生計画案の認可が確定した時点での負債の弁済に充てる。事業運営に必要な運転資金は別途、金融機関から調達し、コミットメントライン(融資枠)を設定する予定。
スカイマークに対して債権者が届け出た債権総額は約3000億円に上るが、都内で会見した申し立て代理人の中原健夫弁護士は、債権として認められるかどうかを今後「精査していく」と説明。大口債権者が航空業界の事業者のため、航空大手のANAがスポンサーになることで「債権者との対話がスムーズになると思う」と期待感を示した。
会見に同席したインテグラルの佐山展生代表も「大口の債権者の同意を得るにはエアライン(ANA)の支援が必要」との考えを示した。スカイマークは欧州航空機大手エアバスからの機体購入をキャンセルし、同社から最大約7億ドルという巨額の違約金支払いも求められており、交渉力のあるANAの支援が必要と判断したようだ。
<ANA出資後も独立性は維持>
ANAが出資比率を20%未満に抑えたのは、スカイマークが持つ「ドル箱」とされる羽田空港での発着枠1日36往復分を国土交通省に回収されるのを避けるため。スカイマークへの出資でANAは、羽田空港を発着する国内線の新規航空会社4社すべてに出資することになり、ANA陣営の存在感が高まる。
スカイマークは1996年の設立以来、全日空や日本航空に対抗し、日本の空の運賃競争をけん引する「第3極」として独立経営を続けてきた。出資後は事実上ANA陣営となるが、会見に同席したANAの長峯豊之上席執行役員は、出資後も路線、便数、運賃などについて「スカイマークが独自に判断していくのが大前提」とし、スカイマークは「第3極としてのポジションを維持していく」と説明した。
同席したスカイマークの井出会長も、ANAの支援策は「ベストな提案だった」とし、「かなり独立性が維持される」と語った。インテグラルの佐山代表も、交渉中はANAと対立した場面もあったが、「第1幕が終わり、今は同じ船に乗って第2幕が始まる。まったく違うステージにこぎ出す」と話した。
*内容を追加しました。
(白木真紀 編集:山川薫)
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