続く海外生産重視、現地需要取り込みや為替リスク軽減=日銀報告

2015年4月13日(月)16時29分

[東京 13日 ロイター] - 日銀は13日公表した「地域経済報告(さくらリポート)」の中で、国内各地の製造業の近況についてまとめた。円安・原油安が進みつつあるが、多くの企業から海外生産を強化する方針に変わりがないとの報告がもたらされた。

国内生産を強化する動きも徐々には広がっているが、現在の円安が続くとの確信を持てず、現地需要取り込みのためにも海外生産を多くの企業が重視している姿が確認された。

<円安持続性に確信持てない>

報告によると、「現時点ではほとんどの企業で、国内拠点は開発・生産等を行うマザー工場としての機能に重点を置く一方、海外工場は量産拠点と位置付ける従来からの基本方針を維持している」。中堅・中小企業でも「大方は海外生産拠点の拡充を着実に進めている」という。

多くの支店や日銀本店から「海外需要のさらなる獲得や大手メーカーからの進出要請に応えるべく、為替水準とは関係なく、海外生産シフトを着実に進める方針」と報告された。

その背景として、1)海外需要の取り込みに加え、2)海外生産コストが依然割安、3)国内への生産移管には相応のコストを要する、4)円安の持続性に確信持てない─などの理由を挙げている。

特に多くの支店から「為替変動で大きな影響を受けた経験があるため、地産地消を進めることで為替リスクの軽減を図りたい」との指摘があったという。

<原油安、鋼管生産に影響>

もっとも、国内生産を強化する動きも徐々に広がっており、1)逆輸入品の国内生産回帰、2)国内外双方で生産している製品での国内生産拡充、3)増産に際しての国内優先、4)海外生産移管ペースの鈍化・見送り─などが確認されているという。

原油安の影響で「鋼管の需要が資源国の開発案件が滞っている影響から生産が減少している」との報告が横浜・名古屋・下関・大分支店からあり、原油安が国内生産の下押し要因にもなりつつあることが確認された。

(竹本能文※)

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