ドル120円前半、欧州勢参加でユーロ反発

2015年4月13日(月)15時36分

[東京 13日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前週末ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、わずかにドル高/円安の120円前半だった。朝方からじり高基調で、中国の弱い貿易収支を受けてドル買い圧力が強まったが、欧州勢の参加に伴ってユーロがいったん買い戻されると、ドルは120円半ばから前半へと反落した。

ドル/円は120.20円台を中心にもみあっていたが、小高く始まった日経平均株価がマイナス圏に沈む中、いったん120.09円まで下押された。ただ、「下がったところでは買いたい人もいる」(邦銀)とされ、同水準で下げ渋ると仲値に向けてじりじり値を戻した。

仲値後は動意に乏しい展開となったが、午前11時に発表された中国の貿易収支が弱い内容になると、中国経済と関連の深いオーストラリアの豪ドルが対米ドルで急落。ドル買い圧力が強まり、ドル/円も強含む展開となった。

午後に入ってドルは一時120.50円付近まで上昇。本邦勢は「完全に様子見」(外銀)とされるなか、下値では海外勢による小規模のドル買いが散見されたという。

<中国貿易収支その他>

中国税関当局が発表した3月貿易収支によると、輸出はドル建てで前年比15.0%減となり、予想の12.0%増を大幅に下回った。一方、輸入は同12.7%減で、予想の11.7%減に比べて減少幅が大きかった。

朝方は2月機械受注の発表や、黒田東彦日銀総裁の支店長会議でのあいさつもあったが、市場の反応は限定的だった。黒田総裁は「景気は緩やかな回復基調を続けている。先行きについても、緩やかな回復基調を続けていく」との見方を示した。消費者物価の前年比は、消費税の影響を除き前年比ゼロ%程度となっており、「先行きも当面ゼロ%程度で推移する」との従来の見解を繰り返した。

日銀は地域経済報告で、全9地域のうち6地域の景気判断を据え置き、北陸、東海、近畿地域を引き上げた。同報告は、内・外需の緩やかな増加などから生産が持ち直しているなか、雇用・所得環境が着実な改善を続けているとの認識を示した。

他方、サンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁は、米経済は現段階で依然として緩和的な政策が必要との見解を示したうえで、早期の段階的な利上げと遅めの積極的な利上げを比較検討する必要があるとした。

日銀地域経済報告およびサンフランシスコ地区連銀総裁発言は、為替相場に目立った影響を及ぼさなかった。

<円ショート積極化は4月以降との見方も>

米商品先物取引委員会(CFTC)が発表したIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組(7日までの週)によると、円の売り越しは2万4449枚で、前週の2万3924枚から増加した。市場では「円ショートは減ったまま。もう少し明確な円売り材料が出てこないと、それも戻ってこない。ただ、戻りだせば押し上げる力はありそうだ」(国内金融機関)との声が出ていた。

一方、日本の統一地方選(前半戦)について市場では、野党と対決した2つの知事選をともに防衛した与党の「勝利」との評価になっているという。野村証券のチーフ為替ストラテジスト、池田雄之輔氏は「アベノミクスへの信認」との解釈は、ドル/円、日本株にとってはプラスだろうと指摘。

その上で「海外ヘッジファンドには『26日の後半戦が終わるまで、政権は円安を加速させたくないはず』との見方も根強い。彼らが円ショートを再び積極化させる時期としては4月末以降が有力だろう」とみている。

<ロイター調査「ECBのQEは実施前から経済に好影響」>

ロイターが実施したエコノミスト調査によると、欧州中央銀行(ECB)が国債買い入れ型の量的緩和(QE)は、実際に開始する前から経済に好影響を及ぼしていたと主張していることについて、「ほぼ正しい」と答えた割合が約4分の3に達した。

ECBの3月理事会議事要旨では、直近の政策決定がもたらす著しいプラス効果が既に確認できるとの「評価をおおむね共有した」ことが分かった。

今回調査では、77人のエコノミスト中57人がそうした見方に同意。ECBは悲観的過ぎるとしたのが2人、楽観的過ぎるとしたのは18人だった。

ECBは1月に国債を中心とする毎月600億ユーロの債券買い入れ計画を発表し、3月上旬から開始。買い入れのめどを2016年9月までとしている。

ドル/円   ユーロ/ドル ユーロ/円

午後3時現在 120.39/41 1.0590/94 127.50/54

正午現在   120.33/35 1.0595/99 127.50/54

午前9時現在 120.19/21 1.0605/09 127.47/51

NY午後5時 120.26/32 1.0606/11 127.48/52

(為替マーケットチーム)

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