EU米国間の貿易協定、経済効果への過剰な期待は禁物=独経済相

2015年4月13日(月)13時58分

[ベルリン 11日 ロイター] - ドイツのガブリエル経済相は11日、米国・欧州間の環大西洋貿易投資パートナーシップ(TTIP)は必要だが、それがもたらす経済効果を期待しすぎていると警告を発した。

欧州委員会はTTIP交渉の最終的な妥結を目指しており、大西洋両岸に年間1000億ドルの追加経済効果を生むとの専門家の見方がある。

合わせて世界経済の約半分を占める米国とEUの関税障壁がこの協定によって撤廃されるという。

同相は独誌フォーカスに対し「TTIPによる経済成長の驚くべき試算を私は信じない。ブードゥー(魔術的な)経済学という印象を受ける」と述べた。同氏は、メルケル首相の保守系与党と連立を組む社会民主党(SPD)の党首でもある。

その一方で、かねてTTIPに慎重姿勢だったガブリエル氏は、欧州は早急に協定を結ぶべきだと語った。

「基準が共通になれば、承認手続きが1回で済み、わが国の企業にとって有益だ。また今後20年か30年、欧州が世界貿易基準に影響を与えられるという点もメリットだ」とし、中国などほかの国が環境や消費者向けの基準で主導権を握ることへの警戒を示した。

さらに、企業が投資先の政府を訴えることを認める「ISDS条項」を盛り込めば、米国の多国籍企業が、欧州の食品、労働、環境法に異議を唱えかねないとのSPDが主張する懸念も繰り返した。

米国側はISDS条項を盛り込むことを妥結の条件としている。

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