人民元は決済システムに加わる必要、取引困難化も=HSBC

2015年4月10日(金)20時05分

[ロンドン 10日 ロイター] - 英金融大手HSBCの幹部は10日、主要通貨の決済プラットフォームであるCLS(多通貨同時決済システム)に中国の人民元が含まれていないことが銀行とってに大きな問題となりつつあると指摘し、改善されなければ元の取引が困難になると警告した。

HSBCで新興国通貨のトレーディングと欧州での人民銀行事業を統括するデビッド・パビット氏は「元を扱う市場関係者はこれが成長の足かせになるとみている。まだ成長の余地は多く残されているが、出来高が増えるにつれてオフショア人民元の取引は難しくなる可能性がある」と語った。

「われわれはこれまでに何度か中国当局にこの問題を指摘した」と述べ、中国も状況を把握しているとの見方を示した。

複数の外為市場関係者がロイターに明らかにしたところによると、政府や中央銀行がCLSに自国通貨を加えるよう申請してから作業が完了するまでに数年かかる。

CLSは元に関するコメントを控えたが、複数の当局と新たな通貨の採用について協議していると述べた。CLSは昨年、人民元を加えることが最優先事項との認識を示している。

HSBCのパビット氏は、通貨を決済対象に加える上でCLSは信用格付けや法的制度、為替管理、運用基準などの条件を設けていると説明。「現時点で中国は条件を幾つか満たしていない可能性がある」との見方を示した。

中国人民銀行(中央銀行)はファックスによる質問状に対して回答していない。

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