ドル/円方向感出ず、株価2万円維持できず持ち高調整も

2015年4月10日(金)12時34分

[東京 10日 ロイター] - 正午のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点からほぼ変わらずの120円半ばで方向感に乏しかった。株価が2万円の大台を回復した後、伸び悩んだことから、ドル/円では持ち高調整の動きが出てもみあう展開となった。

ドル/円は株価をにらみながら、120円半ばを軸にした動きだった。朝方には日経平均株価が2000年4月17日以来となる2万円を回復するなか、ドル/円もじりじりと値を上げ、底堅い動きとなった。

ただ、株価は2万円超えを果たした直後か、利益確定売りの流れが強まって値を崩した。これを受け、ドル/円は仲値公示にかけ、短期筋のドル売りの動きがやや強まったという。

株価が大台に乗せた後に上方向に走ると見込んでいた向きの間では「株価の2万円台での滞空時間が短かった」(国内金融機関)との受け止めから、いったんドル・ロングのポジションを閉じる動きが出ていたもよう。

正午前には、株価が1万9900円前半で下げ渋り、ドル/円は動意に乏しい展開となった。ドル/円はテクニカル的にレジスタンスが集中した120円前半を上抜けたことで、目先の上値は軽くなっているというが「材料がついてこない」(別の国内金融機関)という。

ただ「株価は大崩れしているわけでもない」(同)として、午後にかけての持ち直しに期待を寄せる向きも多い。「アジア株は底堅く、地合いは悪くない」(別の国内金融機関)との声が出ていた。

<米為替報告は日本の金融政策依存にクギ>

前日には米財務省が半期に一度の為替報告書を公表した。日本政府がデフレ脱却に向け抜本的な措置を継続するなか、財政再建の行き過ぎや金融政策への過度な依存を避けるよう警告している。市場では「目先の相場への影響はなさそうだが、追加緩和への思惑にはネガティブかもしれない」(国内金融機関)との見方が出ていた。

同報告は、欧州については、成長を輸出に過度に依存していると指摘。ドイツの需要拡大が不可欠だとして、一段の財政政策を打ち出すべきとの見解を示した。中国の人民元については「著しく過小評価されている」との見解をあらためて示しつつも、中国政府は為替介入を減らしているもようと指摘した。

<ユーロ売り継続、金利差からドル買いの相手に選好されやすく>

東京時間のユーロは1.06ドル後半での小動きとなった。今週に入ってユーロ売り/ドル買いの流れが続いており、前日の海外時間には1.07ドル後半から1.06ドル前半へと下落していた。前の日のFOMC議事要旨発表を受けた年内の米利上げ期待の余波が残ったほか、米独10年債の利回り格差が拡大したことが背景にあるとされる。

主要通貨に対するドル全面高の流れの中にあって、とりわけユーロは「金利差の面からドル買いの相手として選好されやすい」(あおぞら銀行の市場商品部部長、諸我晃氏)という。

ギリシャ情勢の不透明感が晴れておらず、ユーロ/ドルはボラティリティが大きくなっており、「投機筋にとって面白い通貨」(国内金融期間)との指摘も出ていた。3月半ば以降は、概ね1.06ドル─1.10ドルのレンジ内での推移となっている。

ドル/円   ユーロ/ドル ユーロ/円

正午現在   120.55/57 1.0669/73 128.62/66

午前9時現在 120.55/57 1.0664/68 128.56/60

NY午後5時 120.57/60 1.0658/61 128.50/54

(為替マーケットチーム)

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