日経2万円:内需株主導の株高に限界=内藤証券田部井氏
[東京 10日 ロイター] - 日経平均が15年ぶりに2万円の大台を回復したことについて、内藤証券・投資調査部長の田部井美彦氏は、国内企業の業績やROE(株主資本利益率)の改善などに対する期待感などが背景にあるととらえている。
ただ内需株主導の上昇には限界があるとの認識を示すとともに、さらなる円安進行が国内景気に及ぼす悪影響にも注視が必要だと指摘している。
10日午前、ロイターのインタビューに答えた。
──2万円突破の原動力は。
「国内企業の業績や、ROEの改善、株主還元の強化などへの期待感が出そろい、それを市場が織り込みにいったとみている。ただ予想よりも早く2万円に到達した印象だ」
──今後の見通しは。
「夢から徐々に冷めていくと思っている。日本株も昨日からきょうにかけて、値下がり銘柄数が多い。予想PER(株価収益率)が30倍を超えるような小売株が評価されて日経平均を押し上げてきたところもある。業績相場で2万円を抜けたとしたら見方は変わるが、そうとも言えない」
「期待される国内の決算については、企業側は慎重な数字を発表すると見込まれる。国内市場では新年度入りして1カ月となれば、新規資金の流入への期待感も一巡するだろう。ただ公的資金を含めた押し目買いも想定されており、調整したとしても1万8500円程度までではないだろうか」
──今年中の上値のめどは。
「米金利が好況感のなかで上昇すれば、国内相場も変わる。仮に国内企業の利益が15%増加すれば、日経平均のEPS(1株利益)は1200円台後半。日経平均の予想PERが17倍台とすると、2万2000円までは収益水準からみてもおかしくはない。ただそれにはハイテク、製造業、成長企業株が買われなければ、たどり着けない」
──2020年までに日経3万円は可能か。
「為替相場はさらなる円安が見込まれるが、悪い円安となる可能性もある。さらに金融緩和下にある日本では、出口戦略を考えなければならない局面に差し掛かってくる。その間には消費税の再増税がある。駆け込み需要も期待できるが、今年中に2万2000円を付けたとしても、2020年までの3万円到達は難しいとみている」
*写真を加えました。
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