さえない経済成長、新たな現実となる恐れ=IMF専務理事

2015年4月10日(金)01時38分

[ワシントン 9日 ロイター] - ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事は9日、さえない経済成長が「ニューリアリティ(新しい現実)」となる恐れがあると指摘、大多数が職に就けず、世界の金融安定リスクが高まりかねないと警告した。

専務理事は、シンクタンクである大西洋評議会(アトランティック・カウンシル)での講演用原稿で「今日、われわれは成長低迷が『ニューリアリティ』になることを阻止せねばならない」と述べた。

ラガルド専務理事は世界経済のさえない成長について、昨年10月にも警鐘を鳴らしていた。IMFは来週、経済見通しを発表するが、専務理事は、今年の世界経済は全般的に昨年と同様になる見込みで、先進国はやや改善、新興市場国はやや悪化するとした。

1月時点でのIMF見通しによると、昨年の成長は世界経済が3.3%、先進国が1.8%、新興市場国が4.4%。

専務理事は「全般的な成長が悪いというわけではないが、景気後退(リセッション)による影響が根強いなか、成長は十分でない」と述べた。

ユーロ圏や日本中心に金融緩和政策は依然必要である一方で、低金利に伴い、投資家は一段と高いリスクをとり、資産価値を過大評価している恐れもあるなど、金融の不安定化が芽生えつつあると注意を促した。

さらに米連邦準備理事会(FRB)が利上げ準備を進めるなか、過去半年間でドルが大幅に値上がりしていることも悪影響を及ぼしかねないと警告。新興市場国の一部企業は、ドル高や商品市況安、借り入れコストの上昇で危うい状態に追い込まれていると指摘した。

*内容を追加して再送します。

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