ドル120円前半、上昇基調維持しつつも伸び悩み

2015年4月9日(木)16時06分

[東京 9日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べドル高/円安の120円前半だった。前日海外時間からドル高基調を引き継ぎ、しっかりと推移。日経平均株価の上げ幅拡大も支援材料となり、正午にかけて120.39円まで上昇した。ただ、午後に入ると利益確定売りが優勢になり、伸び悩んだ。

実需筋の目立ったフローはなく、インターバンク主導の取引だったとみられている。「昨日は何回もドルの下方向が試されたが、底堅かった。株価が2万円に近づくなか円買いではないという判断で、ドル買いから入った感じだ」(邦銀)との声が出ていた。正午にかけて高値を付けた後、午後は伸び悩みの展開。

市場では「海外時間からのドル高基調を引き継いで、小じっかりという印象だ。昨日の高値は120.35円、きょうも120.38円で止められており、この水準での売り意欲が強い」との指摘が出ていた。

<機関投資家の対外投資に注目>

このところのドルは基調としての強さを保っているが、その背景には、新年度入りした機関投資家が対外証券投資を活発化させるとの期待もあるという。

「海外投資については、公的資金がかなりの規模で買ってきているが、新年度入りし、月末にかけては(民間)機関投資家によるフローも期待され、ドルがジャンプアップする可能性もある」と、FXプライムbyGMO常務取締役の上田眞理人氏はみている。

他方、日銀も米連邦公開市場委員会(FOMC)もサプライズなしの予想通りの結果となり、既に市場の材料ではなくなっているが、欧州については、ギリシャをめぐる情勢など、リスク要因があると同氏は指摘する。

<アジア株高>

日経平均は前場の取引で1万9957円付近まで上昇し、昨日つけた年初来高値を更新した。

アジア市場では、香港のハンセン指数が前日比で一時3%以上の急騰をみせ、話題を呼んだ。「ハンセン指数はこれまでほぼボックス圏で推移してきたが、上海との相互接続制度や外国資金の投資上限撤廃を背景に、感謝祭休暇明けに、割安なハンセンに一気に資金が流入し、上海にキャッチアップしているようだ」(市場参加者)という。

<FOMC議事要旨、米国の年内利上げ示唆>

前日海外時間、米連邦準備理事会(FRB)が3月17─18日分のFOMC議事要旨を公表すると、ドル/円は119.85円付近から120.31円まで上昇した。

議事要旨では、FRB当局者が米経済が年明け以降弱含んでいることを認識しながらも、年後半の利上げに向け地ならしをする上で、景気回復に対する十分な自信を維持していることが分かった。「かなりタカ派的というわけではなかったが、年内に利上げをする可能性が高くなった印象だ」(外為アナリスト)という。

ダドリー・ニューヨーク連銀総裁は8日、利上げ時期について「次回の雇用統計が力強く、第2・四半期の国内総生産(GDP)統計で経済が大きく上向いていることが示されれば、6月の利上げはなお可能な状況にあると考えている」と述べた。

その一方、できるだけ多くの雇用が創出されることを確実にするため、利上げは早過ぎるよりも遅過ぎる方がよいと考える理由がなお存在しているとも指摘。第1・四半期の経済指標が軟調で、直近の雇用統計も弱かったことを踏まえると、6月の利上げは「ハードルは若干高い可能性がある」との見方を示した。

<米企業決算への動向を注視>

米国では8日のアルミ大手アルコアを皮切りに、第1・四半期決算の発表が来週以降、本格化していく。米企業決算は、同国の株式市場やドルの全般的なトレンドに与える影響という観点から市場で注目されている。

市場では「非鉄セクターやエネルギーセクターが米景気の足を引っ張るとの懸念が出かねない。ドルについて頭を抑える要因になる可能性がある」(マネースクウェア・ジャパンのシニアアナリスト、山岸永幸氏)との見方が出ていた。

アルコアの第1・四半期の売上高は、前年同期比約7%増の58億2000万ドルと増収となったがアナリスト予想には届かず、同社株は時間外取引で3%強下落した。

ドル/円   ユーロ/ドル ユーロ/円

午後3時現在 120.29/31 1.0754/58 129.37/41  

正午現在   120.32/34 1.0781/85 129.73/77

午前9時現在 120.09/11 1.0783/87 129.50/54

NY午後5時 120.12/14 1.0780/85 129.46/50

(為替マーケットチーム)

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