アングル:中国でSUV人気、背景に一人っ子政策緩和も

2015年4月9日(木)15時48分

[北京 9日 ロイター] - 中間層が拡大する中国で、SUV(スポーツ用多目的車)の人気が高まっている。背景には、ガソリン価格の下落でSUV人気が復活する米国市場とは異なる中国ならではの事情もみられる。

全国乗用車市場情報連合会(CPCA)によると、中国におけるSUV販売台数は2014年に382万台となり、12年以降で2倍強となった。景気減速に伴って国内自動車市場全体の成長ペースは鈍化しているが、セダンに比べてSUV販売は堅調だ。

経済成長で自動車に手が届く世帯が増加したことが主要因で、資金調達手段の多様化や、国内市場の成熟につれて車の買い替えがより一般的になったことも大きい。

一方で、中国固有の背景もある。渋滞の激しい都市で新たに交付されるナンバープレートの数が制限されているため、購入チャンスに恵まれた消費者がせっかくなので大型で値の張る自動車を求めることもその1つ。

例えば北京などの大都市では今年のナンバープレート交付は、抽選で12万件に限定される。

また、1年以上前に「一人っ子政策」が緩和されたことを受けて、より家族向けの自動車が好まれ始めているという事情もある。

高速道路運営事業会社に勤める浙江省寧波市のエドワード・バオ氏(33)は「2歳の子どもがいるからもっと広々とした車が必要」と語る。トヨタのカローラを約5年間乗り続けていたが、現在はホンダのCR─V、もしくはフォルクスワーゲンのティグアンに買い替え候補を絞ったところだ。予算は30万元(4万8000ドル)。

北京のエネルギーコンサルタント会社FGEのウー・カン副会長は「中国では年収8000─9000ドルの生活に余裕のある大きな消費者層が形成されている。彼らにとって不動産は高価かもしれないが、新車はそうではないかもしれない」と話す。

自動車各社はこうした背景を受け、米国のようなガソリンを大量消費するSUVというよりも、人口密度の高い中国都市部に適したコンパクトSUVの開発に力を入れている。

コンサルタント会社オートモーティブ・フォアサイトによると、中国では2014年、国内外の各ブランドが29のSUVを発売。前年からほぼ倍増した。

4月22日から始まる上海国際モーターショーではさらに多くのSUVが展示される見通しだ。ホンダは中国市場向けに現地合弁と開発した新たなSUVの試作車を発表すると明らかにしている。

(Chen Aizhu記者、Adam Rose記者 執筆協力:Jake Spring記者 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)

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