3月米雇用者数は予想下回り13年末以来の小幅増、景気減速反映か
[ワシントン 3日 ロイター] - 米労働省が3日発表した3月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が12万6000人増と、市場予想の24万5000人増を大幅に下回り、2013年12月以来の小幅な増加にとどまった。
雇用増の鈍化を受け、最近確認されている景気減速が一時的要因ではなく基調的な要因による恐れがあるとの懸念が高まり、米連邦準備理事会(FRB)が利上げ開始を遅らせる可能性がある。
失業率は前月から横ばいの5.5%。約6年半ぶりの低水準にとどまり、市場予想と一致した。
プランテ・モラン・フィナンシャル・アドバイザーズのジム・ベアード最高投資責任者は「ドル高や原油安の影響が経済に及んでいることは明白だ。企業利益が圧迫されていることが採用の状況に反映されている」と語った。
米雇用者数の伸びは2月まで12カ月連続で20万人を超え、1994年以来の最長記録となっていた。
1、2月分の雇用者数の伸びは前回の発表より計6万9000人下方修正された。
米雇用統計を受け、市場参加者の利上げ開始見通しが後ずれする中、米国債価格は上昇。ドルは主要通貨バスケットに対し下落した。
時間当たり賃金は前月比0.07ドル増の24.86ドル。前年比では2.1%増となった。
労働参加率は62.7%と、前月から0.1%ポイント低下したが、FRBが注視する本人の意に反して職探しをあきらめた人や、正規雇用を望みながらパートタイムで働く人を含めたU6失業率は10.9%と、前月の11%から低下し、約6年半ぶりの水準に改善した。また、27週間以上失業状態となっている長期失業者数も減少した。
平均週間労働時間は34.5時間。前月は34.6時間だった。
民間部門の雇用者数は12万9000人増。前月の26万4000人増から伸びは鈍化した。
業種別では、ドル高や原油安の打撃を受けている財生産の雇用者が1万3000人減と、2013年7月以来の大幅減となった。
建設は1000人減。ドル高や海外での需要減退の影響を被っている製造も1000人減。
鉱業は1万1000人減。原油安を背景とした石油やガス開発・探査事業の減少を反映した。
政府部門は3000人減だった。
建設業の雇用減やレジャー・接客業の雇用の伸びが大幅に鈍化したことを受け、一部アナリストの間からは、天候要因が影響したと指摘する声も聞かれた。
ドイツ銀のG10為替戦略グローバル主任のアラン・ラスキン氏は天候が弱めの統計の一因となった公算が極めて大きいとしつつも、「景気の基調的な失速を示唆する他の指標の内容に沿う結果となった」と述べた。
また、独アリアンツの首席経済アドバイザー、モハメド・エラリアン氏は、米経済がいまだ、短期的な天候要因や海外からの逆風を克服するための十分な勢いを取り戻していないことが示されたとし、「FRBの利上げ開始をめぐる市場の予想が後ずれし、6月よりも9月を有力視する見方が高まるだろう」と述べた。
*内容を追加して再送します。
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