ECB、QE購入証券の貸出制度導入 運用は各中銀に一定の裁量

2015年4月3日(金)10時10分

[ロンドン 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は2日、量的緩和(QE)プログラム下で「証券貸し出し」制度を導入した。QEにより債券市場に歪みが生じるのを回避するため、買い入れた債券を銀行に貸し出す。当初はECBと、ユーロ圏の中銀19行のうち8行が行う。

借り入れ期間は1週間で、3度までロールオーバー可能。借り入れる量についても多くの制限を設けた。

各金融機関が借りることができる単一の債券は全体の2.5%、最大2億ユーロまでとした。

買い入れ規模の大きいドイツなどの市場では、制度導入後も債券不足が生じかねないとの懸念を踏まえ、ECB報道官は、ユーロ圏の各国中銀は、自国の状況に合わせ、制度運用で「一定の柔軟性」を有すると説明した。詳細については明らかにしていない。

独連銀の制度運用に関する詳細も現時点で得られていない。

制度導入の背景には、とりわけレポ市場での債券不足に対応する狙いがある。レポ市場ではドイツ国債の借り入れコストが急上昇しており、欧州の金融システムが目詰まりを起こしかねない状況だ。だが市場関係者は、ECBが制限を設けたことで、状況改善に寄与しないのではとの見方が出ている。

ある債券トレーダーは「ECBの枠組みに(各国中銀が)どの程度忠実に従うかというのが問題」と述べ、独連銀が忠実に従った場合は状況はかなり厳しいと指摘した。

ソシエテ・ジェネラルのストラテジスト、Ciaran O'Hagan氏はECBの枠組みから大幅に逸脱した形で各国中銀が運用することはないだろうとの見方を示した。

ECBの枠組みでは、他の債券が差し入れられた場合にのみ、QEで買い入れた債券を貸し出すことが認められている。

JPモルガンのストラテジスト、Nikolaos Panigirtzoglou氏は「担保に現金を差し入れることはない。担保として流通する債券不足の解消にはそれが必要だ」と述べた。

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