ドル120円前半、期末のフローはほぼ一巡
[東京 31日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べて若干ドル高/円安の120円前半だった。欧米勢にとって四半期末であり、本邦勢にとっては四半期末・年度末が重なったことで、実需のフローが予想されたが、ふたをあけてみると若干買いが上回った。
正午までには利益確定売りも出て、ドルは高値から反落。午後にかけては、期末のフローはほぼ一巡したもよう。
午前の取引で、ドルは一時120.37円まで買い進まれた。実需の買いに加え、投信設定に絡んだ外貨買いも流入したことで、ドル高/円安、ユーロ高/円安の流れとなり、クロス円ではアジア株高が支援材料になった。
しかし、正午までには、利食いも入り、ドル/円、ユーロ/円とも上昇分の約半分を返上する格好になったが、フロー関連で相場に波乱は生じなかった。
午後にかけては、実需のフローはほぼ一巡し「よほど追い込まれた人以外はいない」(国内金融機関)状況になったといい、取引件数は細ったもよう。
前日は「ほぼ世界中で株高だったが、為替市場はリスクオンにはならず、米金利も低下傾向と、それぞれの市場が、独自に調整を進めていた」とみずほ証券チーフFXストラテジストの鈴木健吾氏は指摘。きょうはこの後も、明日の日銀短観、明後日のイエレン議長講演、週末の米雇用統計の発表を控えて、「実需も投機も必要以上のポジションはとらず、調整色の濃い相場が続きそうだ」という。
前日の中国人民銀行の住宅購入支援措置と、中国財政省の住宅売却に関する税制の緩和を受け、上海総合株価指数は前日比1.0%高の3822.99で取引開始。不動産株指数は3.3%高で取引が始まった。
中国人民銀行は30日、各金融機関に商業用貸し付けと住宅購入用の積立基金を併用した住宅購入支援を指示した。一方、財政省は別の通知で、住宅売却に関する税制を緩和すると発表した。
これらの措置にまつわる思惑は前日東京市場の終盤から広がり始め、ロンドン市場にかけてのドル買い要因の一つとなったが、きょうの取引では、特に材料視されていなかった。
<ドル/円スワップ、期末の山超えるも長めの資金には依然上昇圧力>
為替スワップ取引では、前日ロンドン市場で、一時10%以上(年率換算値)に跳ね上がった期末越えの翌日物(T/N物)でのドル調達コストが、目下60bp程度まで低下している。
ただ、ドル調達コスト高は、本日スタートの翌日物(O/N物)に引き継がれ、O/N物のフォワードスプレッドは現在5bp程度、年率換算値で15%付近まで上昇している。しかし、O/N物の出来高は前日のT/N物に比べて相対的に小さいとされ、期末のドル手当てはほぼ山を越えたとみられる。
他方、1カ月物、3カ月物など、長めの資金には、依然として上昇圧力がかかっている。ドル/円スワップ1カ月物のフォワード・スプレッドは5.80bp(年率58bp)と前日の4.50bp(年率45.3bp)から拡大した。
さらに、1年物のドル/円ベーシススワップでは、ドルディスカウントが前日一時44.5と2012年8月以来の水準まで拡大した。
「今月のFOMCを経て、米国の実質ゼロ金利政策の時間軸は長期化した格好だが、ここ1週間ほどのフォワード(及びベーシス)の動きをみると、ドル調達コストが緩やかな上昇トレンドを続けていることを改めて認識させる」とSMBC日興証券、シニア金利ストラテジストの野地慎氏は言う。
<ゆうちょ・かんぽの運用見通しへの反応は限定的>
郵便貯金・簡易生命保険管理機構が、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険による国債など安全資産の保有状況についての見通しを発表したが、外為相場の反応は限定的だった。
郵貯・簡保管理機構の発表では、ゆうちょ銀行の2014年度末の国債運用額は、当初見通しより27兆円ほど少ない117兆円になるとし、15年度末はこれが111兆円へとさらに減る見通しだとしている。
日本郵政は、ゆうちょ銀の運用について「高度化」に向けた体制整備を進める方針を打ち出しており、市場では資金が国債から外債や外国株式へも振り向けられるのではないかとの思惑が出ている。ただ「運用の見直し先が明確になっておらず、現時点では材料にしにくい」(国内金融機関)との指摘が出ていた。
ドル/円
午後3時 120.10/12 1.0781/85 129.49/53
正午現在 120.12/14 1.0815/19 129.92/96
午前9時現在 120.02/04 1.0827/31 129.96/00
NY午後5時 120.03/08 1.0832/35 130.07/11
(為替マーケットチーム)
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