大手行の海外リスク、地域金融機関の収益力点検=15年度日銀考査

2015年3月27日(金)17時27分

[東京 27日 ロイター] - 日銀は、2015年度の考査において、大手銀行を中心に海外向け融資などが活発化するなか、邦銀の海外関連業務のリスク管理体制を点検する。地域金融機関については、利ザヤ縮小などで基礎的収益力が低下するなか、地域の人口減少による営業基盤の縮小なども踏まえ、長期的な視点での収益力評価も行う。

27日に発表した15年度考査の実施方針で明らかにした。

<大手行はグループベースのリスクも点検>

超低金利環境の継続による国内業務の収益力低下や、欧米銀の資産圧縮の動きなどを背景に、近年、大手行を中心に邦銀の海外業務展開が積極化している。こうした状況を踏まえ、15年度の日銀考査では、邦銀の海外業務における与信や外貨流動性などのリスク管理体制の点検に重点を置く。

具体的には大手行に対し、海外与信の状況について自己査定の検証などを通じて内容を細かく点検。非日系向けの大口与信について、カントリーリスクなども考慮して適切に管理を行っているか、本部が適切にモニタリングしているかなどもチェックする。一部の地域金融機関でも、取引先企業の海外進出などに伴って海外向け融資が増加しており、海外事業のウエイトが大きい債務者の実態把握の状況などを点検する。

特に大手行については、海外業務の積極化やグループによる幅広い金融サービスの展開で、収益源とリスクが多様化・複雑化していると認識。国際的にも金融市場や経済への影響力が強まっており、金融経済情勢の変動などストレスが発生した場合の影響と対応をを点検するほか、ストレステストの内容や手法なども検証する。

<人口減など長期的な課題と対応も確認>

一方、地域金融機関は利ざや縮小などで基礎的な収益力の低下が大きな経営課題となっている。

こうした中で考査では、大口債務者の債務者区分が下がった場合や株価の下落、金利の上昇などダウンサイドリスクを含めた複数のシナリオを想定し、先行き3年程度の収益シミュレーションを実施。自己資本への影響や、それを踏まえた資本政策などについて経営陣の認識を確認するとともに、必要な助言を行う方針だ。

先行きも少子高齢化の進行による地元の人口減少により、経営基盤の縮小が懸念される。考査では、より長期的な視点での地域経済と営業基盤の展望をもとに、経営陣から課題と対応方針を確認する。

*写真を付けて再送します。

(伊藤純夫)

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