アングル:原田氏就任で日銀のリフレ度増す可能性、QQE長期化も

2015年3月26日(木)19時15分

[東京 26日 ロイター] - 日銀の宮尾龍蔵前審議委員の後任に、元早大教授の原田泰氏が就任し、日銀の「リフレ度」はさらに強化されるとの観測が、BOJウオッチャーを中心に広がっている。

原田氏は、岩田規久男副総裁らと同様、必要なら国債を買い増すべきと主張してきた。景気動向や物価の行方によっては、追加緩和に賛成し、量的、質的金融緩和政策(QQE)が想定以上に長期化する可能性もありそうだ。

原田氏は旧経済企画庁(現内閣府)出身。退官後は、大和総研・専務理事を経て早大教授を務めた。

日銀に対しては、緩和不足が円高やデフレをもたらしたと一貫して批判。大和総研時代の2010年11月には「通貨戦争は心配ない」と題するコラムで、「世界が金融緩和をしているときに、日本のように金融緩和しなければ当然に円高になる」「FRB(米連邦準備理事会)と英中銀が3倍、欧州中銀が2倍、韓国中銀が1.5倍にマネタリーベースを増やしている時に、日銀が10%しか増やさなければ、円が高くなるのは当然」などと、日銀批判を展開した。

政府関係者によると、同氏が選ばれた契機となったのは、昨年4月の安倍晋三首相との会談とみられる。元日銀審議委員で、首相や菅義偉官房長官の経済アドバイザーも務める中原伸之氏らとともに1時間40分にもわたり首相官邸で会談。

中原氏が安倍首相に「何よりも株価が大事」と進言すると、原田氏は、雇用や女性の労働参加の重要性を強調したという。

リフレ派の登用を続けてきた「安倍人事」。原田氏が今後、どのような政策的主張を展開するのか、市場参加者からの関心も高い。

今年1月にはロイターとのインタビューに応じ、物価安定2%の目標について「(2015年度に)達成できなくても良いのではないか。2%程度の(実質)経済成長が続けられるような政策運営が重要」とする一方、現金給与総額が季節調整済みの前期比でもマイナスとなった点や、原油安の背景にある世界経済の減速を懸念材料に挙げた。

市場の一部には、「追加緩和に消極的」(国内市場関係者)との見方があるが、消費税増税の影響が前年比で消える今年4月以降、消費や物価上昇テンポに明らかな陰りが見えれば「積極的に追加緩和に賛成するのではないか」(邦銀関係者)との声も少なくない。

また、日銀が追加緩和する場合の手段としては、引き続き国債買い入れの増額が適切と指摘しており、市場からは「同氏の就任をきっかけに、日銀のリフレ度が増す可能性がある」(別の邦銀関係者)との声が出ている。

日銀が「QQE」の名の下で進める未曽有の国債買い入れは、菅義偉官房長官みずからも「無制限金融緩和」と言及した経緯がある。国債を買い増すことに抵抗のない原田氏の就任は、QQEの長期化現象の現実度を上げる可能性がある。

(竹本能文 編集:山口貴也)

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