トヨタ、今年の新型車生産の投資は08年比で半減へ

2015年3月26日(木)17時59分

[豊田市(愛知県)26日 ロイター] - トヨタ自動車は26日、2015年の新型車生産での設備投資額について、生産性向上の結果、2008年当時と比べ約半分に低減するとの見通しを発表した。これまで取り組んできた生産体制・工程の見直しや現場での改革が大きく寄与する。

同社は現在、部品類などの共有化により商品力向上とコスト削減の同時実現を目指す新しい車両設計方式「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」の導入準備を進めている。新方式による生産立ち上げ当初は設備投資が一時的に増えるが、これまでの全社的な投資低減努力により、08年時より少ない投資で車両モデルの切り替えが可能になるという。

工場の初期投資は2008年度に比べて約40%低減するめどがついているという。今後は設備投資額も2008年度(1兆3025億円)に比べて4割程度に抑えていきたい考えで、8000億円前後にとどまるとみられる。牟田弘文専務役員は、TNGA導入以降はその効果により、設備投資額は「もっと下がっていくと考えている」と述べた。

TNGAによる新プラットフォーム(車台)は今年中に発売予定の前輪駆動(FF)系中型車から導入する。主力ハイブリッド車の次期「プリウス」となるもようだ。その後、FF系の小型・大型車、後輪駆動(FR)系の車種にもそれぞれに対応した車台を展開し、2020年ごろには全世界の販売台数のうち、約半数がTNGAを採用した車両となる見込み。高級車ブランド「レクサス」の車両にも導入する。  

TNGAはトヨタ車の商品力向上を大きな目標にしている。車両サイズごとに複数の車種を一括して企画・設計し、部品類を開発段階から共通化してコスト低減や開発効率化の両立を目指す取り組み。

同社は2008年秋のリーマン・ショック後に赤字転落した反省から、工場新増設の方針を転換、グローバルに生産体制の見直しを推進してきた。既存工場の生産性を向上させて稼働率を高める一方、現場では設備の小型化などで品質の確保とコスト削減を徹底する改革を進めている。

(白木真紀 編集:山川薫)

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