ドル1カ月ぶり118円台に沈む、株安・米金利低下

2015年3月26日(木)15時35分

[東京 26日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べてドル安/円高の118円後半だった。株安の流れの中、サウジアラビア主導でイエメンの反体制派に空爆開始と伝わって米金利が低下するのを眺めつつ、1カ月ぶりに118円台に沈んだ。

ドルは仲値公示後にいったん119.27円まで下げたが、その後は、イエメン関連の報道には目立った反応を示さず、日経平均が300円を超えて下げ幅を拡大しても下げ渋った。

「119.20円付近では実需筋と年金系のまとまったドル買い需要がある」(外資系金融機関)との指摘もあり、下値リスクが足元では限定的との見方が多かった。

午後に入って米金利が弱含むと下げ足を速め、一時1カ月ぶり安値118.85円まで下落した。朝方からの株安で、これまで119円前半に多く観測されていた実需筋の買い需要が減ってきていたという。サポートとして意識されてきていた119.20円を下抜けたことで下げ足が速まった。

118円半ばから後半にかけては、再び実需筋の買い注文が観測される一方、ドルを高値で買った投資家があきらめて売る水準でもあるとして、断続的にストップロスも観測されているという。

市場では、きょうの米株価の動向に関心が寄せられている。株価続落となればドル/円の下げ足も早まりやすいという。「ドルが118円半ばまでの下落で切り返せるようなら119円に値を戻すだろう。ただ、米ダウがまた200─300ドル下落するとなればドル118円割れも意識されるようになりかねない」(国内金融機関)との声が出ていた。

<イエメン空爆と原油相場>

金融市場ではこの日の朝方、サウジ主導のイエメン軍事作戦の開始が伝わった。

為替市場の反応は鈍かったが、その背景として「中東地域での地政学的リスクの問題の高まりは、原油の供給問題を通じて従来はリスクオフにつながりやすかったが、最近は原油の供給過剰という環境で、明確な影響が表れにくい」とプレビデンティア・ストラテジーの外為ストラテジスト、山本雅文氏は話している。

一方、原油先物はバレル当たり51.98ドルまで上昇し、3月5日以来、3週間ぶり高値をつけた。原油先物上昇の原動力はファンド等の投機筋による買い戻しとみられており、供給減への懸念とは関係がないという。

原油価格に足並みを合わせ、金価格も上昇した。

COMEXの金先物4月限は1オンス=1199.80ドルまで上昇し、前日付けた3週間ぶり高値をつけた。

駐米サウジアラビア大使は25日、サウジおよび湾岸諸国がイエメン暫定政府の要請に応じ、イスラム教シーア派系の武装組織「フーシ派」に対する空爆を開始したことを明らかにした。

米ホワイトハウスによると、オバマ大統領は、サウジ主導の軍事作戦への物資・情報収集面の支援を承認している。また、米軍は軍事作戦に直接参加していないが、サウジと共同作戦組織を編成しているとし、イエメンのアルカイダ系組織の動向を引き続き注視し、必要に応じて対応するとした。

<米成長率の下方修正>

前日の海外市場では、予想外に弱い内容となった米耐久財新規受注を受け、ドルが119.23円付近まで弱含んだ。

2月の耐久財新規受注は前月比1.4%減となり、市場予想の0.4%増に反して減少した。

米アトランタ地区連銀は、耐久財新規受注の低下を受けて第1・四半期の国内総生産(GDP)の伸び率予想を、17日に発表した当初予想の0.3%(前期比年率)から0.2%に引き下げた。

アトランタ地区連銀は、商務省経済分析局が使用しているものと同様の手法でGDPを試算する予測モデルを採用している。これにより算出した経済予想は多くのエコノミストの予想を下回っており、トレーダーらから最近注目されるようになっている。

予想外に弱い内容となった2月の米耐久財新規受注統計を受け、民間金融機関も予想引下げに動いた。

ゴールドマン・サックスは25日、第1・四半期の米GDP予想を2.0%増から1.8%増に引き下げた。

米JPモルガンも25日、第1・四半期の米GDP予想を1.5%増とし、従来の2.0%増から下方修正した。

(為替マーケットチーム)

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