アングル:クラフト・ハインツ合併で存在感みせた独立系投資銀行

2015年3月26日(木)10時03分

[25日 ロイター] - ハインツとクラフトフーズ・グループという今年最大の合併案件でアドバイザーを務めた投資銀行は、独立系のラザードやセンタービュー・パートナーズだった。

両社は、ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースといった業界大手と比べると、人員も資源も小規模だが、得意分野における専門性や、取引先企業との人間関係が契約に結びついた。

コンサルティング会社フリーマンによると、ラザードの手数料収入は最大6600万ドル、センタービューは同9700万ドルに達する可能性がある。

ラザードはかなり前から、著名投資家ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハザウェイとともにハインツ株を保有するブラジル投資会社3Gキャピタルとつながりがある。センタービューも、クラフト、ハインツ両社について業務の実績を持つ。

大手投資銀は、資金調達力や為替ヘッジから資金管理に至るさまざまな分野における能力を武器に大型の企業合併・買収(M&A)案件を獲得しようとする。一方、独立系投資銀行は、大手は顧客に抱き合わせで商品を売ろうとすると指摘し、自分たちのモデルは利益相反を起こしにくいとしている。

ハインツとクラフトの案件では、銀行の融資を必要としなかった。したがって、大手投資銀行が関わる必要性はなかった。

また事情に詳しい関係者によると、3Gキャピタルとクラフトは、合併交渉の情報漏れを防ぐためにアドバイザーの数をできるだけ制限しようとしていたという。

センタービューはUBSの副会長だったブレア・エフロン氏とワッサースタイン・ペレラの社長だったロバート・プルザン氏が2006年に共同で設立した銀行で、従業員はわずか200人にすぎない。ラザードは昨年12月末時点で2500人強だった。

トムソン・ロイターのデータでみると、ラザードは今回の案件獲得で今年のM&Aリーグテーブルでは7位から4位に躍進し、センタービューも14位から6位に上がる。昨年はラザードが12位、センタービューは8位だった。

3Gキャピタルはしばしばラザードと組んでおり、具体的には2010年のバーガーキング買収や昨年のカナダのコーヒーチェーンのティム・ホートンズ取得などが挙げられる。

ラザードから今年米財務省に転身したアントニオ・ワイス氏は、3Gとのつき合いが長かった。08年には同氏が3Gの創業者ホルヘ・パウロ・レマン氏が支援したインベブによるアンハイザー・ブッシュ買収でアドバイザーを務めている。

さらにラザードの現最高経営責任者(CEO)のケン・ジェイコブズ氏が、ハインツとクラフトの交渉を進める上では主導的な役割を発揮した。

センタービューは、クラフトによる10年のキャドバリー買収に関与し、3Gが13年にハインツを買収した際には、ハインツ側のアドバイザーになった。

(Olivia Oran記者)

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