日本マクドナルド株主総会ほぼ平穏、今期業績予想は4月中旬に
[東京 25日 ロイター] - 日本マクドナルドホールディングス は25日の株主総会で、公表が遅れている2015年12月期の業績予想を4月中旬頃に発表する方針を示した。
サラ・カサノバ社長は一連の不祥事を謝罪するとともに、品質管理の徹底や全国の店舗を回って顧客の声を集める方針などを報告。総会は粛々と進み、提出議案すべてが承認されたが、出席した株主からは支持の声とともに、「表面的な説明で終わった」との不満も聞かれた。
<カサノバ社長が陳謝>
総会に出席した複数の株主によると、カサノバ社長は冒頭の発言で、期限切れ鶏肉の使用問題や異物混入問題について「商品の品質と安全性についてご迷惑をお掛けし、心よりおわび申し上げます」と陳謝。さらに会社側から、ヘルシーなメニューの開発や店舗の改装など、今後の施策についても説明が行われた。
議長の交代を求めた株主がひとり退場させられる場面があったが、全般的には「荒れた感じはなかった。頑張ってもらいたいという雰囲気だった」(出席した47歳の会社員)という。同社の株価が大きく下落していないことも、株主の冷静さにつながっているとの指摘もあった。
総会では14人の株主が質問に立ち、2時間43分で議事が終了。会社側が提案した1─4号議案はすべて承認された。
退職後初めて株主総会に参加したという男性(65歳)は、不祥事についての同社側の発言を聞き、「どのような対策が講じられるか気になって来たが、食の安全に努める、頑張るという表面的な説明で終わった」と話す。ただ、こうした説明も予想の範囲内だとも語り、株式は保有したまま、今後を見守る考えだという。
また、「再建への道のりは厳しい。一度失った信用を取り戻すのは難しい」(53歳・会社員)との受け止めも多く、株主に対して、再建を確信させるような株主総会になったとは言い難い状況だ。
<独立社外取締役はゼロのまま>
この日の株主総会は、同社として過去最大となる218億円の最終赤字を計上した2014年12月期決算を受けて開かれた。この総会で了承された日本マクドナルドHDの経営体制は、取締役8名のうち、社外取締役は3名。ただし、3名とも再任で、独立社外取締役はゼロという状況に変わりはない。
新任の取締役3名は、米マクドナルドのロバートD.ラーソン氏が会長に、日本マクドナルドの下平篤雄氏が副社長兼COO(最高執行責任者)、宮下健治氏が上席執行役員にと、日米のマクドナルドからの抜擢となっている。
米マクドナルドと日本マクドナルドの双方に抜本的な経営改革を求めている米CtWインベストメントグループのExecutive Director、Dieter Waizenegger氏は、ロイターに寄せたコメントの中で、「日本マクドナルドは過去5年間、低迷を続けている。食品の品質に関する最近のスキャンダルやサプライチェーンの問題、売り上げの落ち込みは、同社に真に独立した説明能力のある取締役会が必要であることをはっきりと示している」と指摘。
さらに、「日本マクドナルドや米マクドナルド社内から取締役を増員しても、日本マクドナルドに求められる真の改善をもたらすとは信じていない」と述べている。
CtWは株主総会に先立ち、現職の社内取締役を解任して、適任の独立社外取締役を選任することを求める書簡を、社外取締役の川村明氏宛に送っている。CtWは、米マクドナルド、日本マクドナルドの双方に改革を求め続けている。
(清水律子 編集:北松克朗)
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