ドル120円半ば、急伸後のユーロは軟調推移

2015年3月19日(木)15時58分

[東京 19日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、前日ニューヨーク市場午後5時時点に比べ、小幅にドル高/円安の120円半ば。米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明文や米連邦準備理事会(FRB)議長会見をハト派的と織り込む動きから一時弱含んだが、国内投資家の押し目買いや米系ブローカーの買戻し等を受け、小幅に反発した。

FOMCは声明で、利上げまで「忍耐強く(patient)」いられるという文言を削除した一方、金利と成長率見通しが引き下げられた。これを受けて米金利が低下し、ドル売りの流れが強まってドル/円は一時119.29円まで急落した。

その後いったん輸入勢による押し目買いで120円前半に値を戻したが、仲値公示にかけては短期筋とみられる売りなどで一時119.67円まで下押しした。

海外時間の流れを受けて「かなりたまっていたドル買いポジションを巻き戻す動きが東京市場の参加者にも出ているようだ」と、あおぞら銀行の為替マーケットメイク課・課長、諸我晃氏は指摘する。

午後に入ると、米系ブローカーによるドル買いが流入し再度強含む場面が見られた。

<ショート・スクイーズの大波かぶったユーロと英ポンドは再び下落>

ユーロはこの日、1.0920ドルの高値から1.07ドル半ばまで下落した。

前日ユーロは、米連邦公開市場委員会(FOMC)を挟んで、1.0580ドルから1.1062ドル付近まで約500ポイントの幅で急伸した。

「この上げ方を見ると、ユーロを買い戻さなければならなかった投機筋がどれほど多かったのかわかる」(投資家)。

ユーロの急伸は、原因とは一切関係なく、単に上昇に伴って「ショート・スクイーズ」(損失を伴う売りポジションの巻き戻し)の大波が市場に押し寄せたことが背景だとされ、巻き戻しが一巡後の引き継いだ東京市場では、再びユーロ安が進行した。

ユーロと同様に、前日ショート・スクイーズが押し寄せたのが英ポンド。英ポンドは前日、安値1.46360ドルから、1.51485ドルまで500ポイント以上急伸したが、現在は1.49ドル付近に押し戻されている。

<国内投資家の「買い意欲強い」>

午前中の調整局面では、輸入企業や個人投資家による押し目買い意欲の強さが意識されていた。

実需筋の動きとしては、朝方に一部の輸出企業でドルを売る動きが観測されたものの、「仲値にかけ、輸入企業の買いが優勢だった」(国内金融機関)との声が多く聞かれた。ドル119円台では個人投資家の買い注文が多く観測されており、119円半ばに弱含んだ場面では「投機筋の売りに踏み倒された」(国内金融機関)という。

ただ、その後は値を戻し120円台を回復。外為どっとコム総研の調査部長、神田卓也氏は、FOMC前にドルが122円に上昇した局面で個人投資家はかなりドルロングを手放していたとして「投資余力はある。下がれば買う人が圧倒的に多い。投機筋の売りが出ても吸収している」と指摘していた。

財務省が19日に発表した3月8日―3月14日の対外及び対内証券売買契約等の状況によると、本邦勢による対外株式投資は5106億円の買い越し。買い越しは17週連続。対外中長期債投資は5511億円の買い越し。買い越しは8週連続となった。

<FOMC政策当局者による金利見通しの下方修正>

今回のFOMCでは、FF金利の見通しも大きく下方修正された。

タカ派3名を除いた平均ベースでは、2015年末の見通しが1.00%から0.75%に下方修正され、中立的なFF金利の水準に対する見通しも前回の3.70%から3.57%に引き下げられた。

「見通しが次々に修正されているという事実は、FRB内で先行きこうなるという予想や判断が誤り続けている証拠だ。イエレン議長からは、利上げについてはデータ次第というニュアンスしか伝わってこないが、それも無理のないことかもしれない」(投資家)との声も聞かれた。

       ドル/円   ユーロ/ドル ユーロ/円

午後3時現在 120.51/53 1.0770/74 129.80/84

正午現在   120.22/24 1.0793/97 129.76/80

午前9時現在 120.06/08 1.0846/50 130.23/27

NY午後5時 120.10/13 1.0866/69 130.16/20

(為替マーケットチーム)

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